LHを下げる方法はある?

9週で自然流産。 普段からLHが高いのですが 数値を下げる方法はある?

内田 昭弘 先生 島根医科大学医学部卒業。同大学の体外受精チームの一員として、 1987年、島根県での体外受精による初めての赤ちゃん誕生に携わる。 1997年に内田クリニック開業。1階は奥様が副院長を務める内科・胃腸 科、2階が婦人科。青い屋根に取り付けられたピカピカのソーラーパネル は、培養システムの24時間稼働をめざし、2年の歳月をかけた情熱の証。 停電時、自家発電によるバッテリーへの自動切 り替え機能で安心と信頼を確保しました。また、 家族について考える「家族理解ワークショップ」 が7月、11月、3月に開催されます。詳しくは内 田クリニックのホームページへ。
笑子さん(35歳)からの相談 Q.結婚して3年目です。血液検査では、FSH<LHで、LHは10~20。不妊の原因 となる病名は、多嚢胞性卵巣(PCO)、卵巣機能不全と診断されています。1年不妊 治療を続け、クロミッド®2錠5日間、カバサール ®1錠の後にHCGで妊娠しました が、9週で自然流産しました。来周期から不妊治療再開です。初経は13歳でしたが、 以降、常時不順です。周期は22日から45日で、時々Day20頃から茶おりが始ま り、そのまま量が増え生理になります。今周期も生理が来ないので受診したら、クロ ミッド ®1錠4日分処方されました。その後、Day28のエコーでは1,6㎝の卵胞 が左2個、右1個見られました。血液検査ではまたLHが高く、今周期はプロゲストンで生理を起こすとのこと。LHが高いと卵子の質が下がるとか…?この調子で妊 娠可能なのか心配です。LHを下げる方法はあるのでしょうか?

LHとFSHのバランスから

笑子さんは、普段から LH が高いことをかなり心配しているようです。
内田先生  LH の数値が 10 ~ 20 というのは、まちがいなく高いのでPCOだと思われます。
LHが高いということは卵巣の中で卵子が育ちにくい状態なので、卵子が育ちやすくなるような条件を整えたらいいということです。
排卵周期をつくることができれば LH は下がってくるはずなので、排卵誘発剤を使うことは選択肢の1つになると思います。
笑子さんは、 LH が高い状況で妊娠をしたら、また流産すると心配しているのでは?
内田先生 ホルモン剤を使う周期(カウフマン、ピルなど)を2~3周期行い、排卵をしない状態を続けることでも、 LH は徐々に下がってきます。笑子さんには、そのようなスタートがいいのかもしれないですね。
PCOのときには「LH 基礎値高値かつFSH 基礎値正常( LH≧FSH)」という状態なので、こういうときは排卵誘発剤の効果も出にくい場合があるようです。
そのようなときには、ホルモン剤を使い3周期くらいで治療していくことで、 LH のアンバランスが改善できることで排卵誘発剤の効果が出やすくなることもあります。
状態により排卵誘発剤の効果があるならば、 1周、2周期と続けていくうちに LH のバランスが正常になっていき、より排卵誘発剤の効きがよくなる経過をたどるでしょう。
LH と卵子の質の関係はあるのでしょうか?
内田先生 基本的に、PCOの人はいい卵子が育ちにくいといわれていますが、 LH が高いからといって卵子の質が悪いということではないと思います。

不安定な月経周期

月経周期が 22 日から 45 日ということですが、これはどう考えたらいいのでしょうか?
内田先生 おそらく、笑子さんは 40 日周期くらいが基本ではないでしょうか
「時々 20 日から茶おりが出て、その後出血が始まり、そのまま量が増え生理」ということですから、多分、 20 日くらいからのは不正出血で、その後排卵をしているのだと思います。
基礎体温表をつけて定期的に経過をみていくことが必要だと思います。

見た目にとらわれ過ぎない

体型は、身長163㎝で体重 47 ㎏。やせ型のようですが、PCOと糖代謝異常の関連も考えた方がいいのでしょうか。
内田先生 最近はメタボリックシンドロームのなかにPCOが含まれているという考え方があります。
糖尿病はやせている人には考えにくいのですが、見た目だけではわからないので、検査だけは行ったほうがいいと思いますよ。
当院でPCOと判断した場合は、基本的には排卵誘発剤を使用した治療を行いますが、効果が出ない場合は糖代謝異常に関しての検査を行い、その結果に基づいて経口糖尿病治療薬で治療を開始するようにしています。
しかし、笑子さんは一度妊娠されているし、 これから妊娠・出産ができる方だと思うので、LH の数値にばかりとらわれず、前向きに治療に当たっていけばいいと思いますよ。
※PCO(多嚢胞性卵巣):排卵がうまくできず、卵巣内にたくさんの小嚢胞がある状態。排卵誘発により卵巣過剰刺激症候群を起こしやすい。
※メタボリックシンドロームとPCOS:PCOSには内臓性肥満やインスリン抵抗性(インスリン が組織で効果的に働かないこと。そのため血糖が高くなりやすい)が関与している。一方、メタボリックシンドロームは、内臓脂肪型肥満に加えて、耐糖能異常、高血圧、脂質異常のうち、いずれか2つ以上をあわせもった状態で、虚血性 心疾患、脳血管障害を発症するリスクが高い。この両者に共通するのがインスリン抵抗性である。肥満とPCOSはメタボリックシンドロームのリスク因子であり、PCOSの女性のメタボリックシンドローム罹患率は43~47%といわれる。

30代後半の最新記事

>全記事がドクター編集!

全記事がドクター編集!

不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。