AIH5回で妊娠に至らず。6回目にトライすべきか ステップアップすべきか?

特に原因がないのに、AIHでは妊娠できませんでした。

まだ33歳。

IVFにステップアップするべきかどうか、 とくおかレディースクリニックの徳岡先生に伺いました。

徳岡 晋 先生 防衛医科大学校卒業。同校産婦人科学講座入局。自衛隊中央 病院産婦人科勤務後、防衛医科大学校医学研究科に入学し、学 位(医学博士)取得。2000年より木場公園クリニックに勤務。5 年間の勤務を経て2005年に独立し、とくおかレディースクリニック を開設。A型・みずがめ座。「診療の際の作業着を暖かみのあるカ ラーに替えてみましたが、いかがでしょう(笑)? オレンジは珍しいで しょ?」とにっこり。徳岡先生の2013年度秋冬コレクションです!

ドクターアドバイス

●AIHを選ぶならHMG注射で刺激を高める
●IVFを検討し、若いうちに卵子を確保
●悩んだら、専門カウンセラーなどに相談を
自転車さん(33歳)からの投稿 Q. 一昨年、昨年と2回、精液検査の結果には問題はなかったものの、 ヒューナーテストで精子が見つからず、昨年2回、今年に入って3回 AIHにトライしましたが、なかなか授からずに落ち込んでいます。 引っ越しをくり返したために現在の不妊治療専門医院は3カ所目になり ますが、このまま6回目のAIHにトライして可能性はあるものなのか、 それともIVFにステップアップしたほうがいいのかで悩んでいます。 また、腹腔鏡検査では問題ないとのことでしたが、着床障害も疑ってい ます。「まだ33歳なのだから、そんなに焦る必要はない」と周囲にはい われますが、できるだけ早くの妊娠を希望しています。

●これまでの治療データ

検査・ 治療歴

脳下垂体ホルモン検査、卵管造影検査、頸管粘液検査、 ヒューナーテスト、尿中黄体ホルモン検査、黄体機能検査、クラミジア検査、精液検査、腹腔鏡検査

不妊の原因 となる病名

不明

現在の 治療方針

セロフェンⓇ投薬のうえ、6回目のAIHを検討中

精子 データ

液量:20mL、
精子数8000万/mL、
運動率55%、
処理後の運動性(良好20%、やや良好50%)

ステップアップすべき?

6回目のAIHにトライすべきか、ステップアップするべきかで悩まれています。
徳岡先生 当院であれば、タイミングからAIHへと進み、3~4回で結果が出なければIVFへとステップアップしますね。
転勤で転院せざるを得ない事情などがあったにしろ、 33 歳で3年間という治療期間は長すぎますし、5回のAIHというのも治療スピードからいって遅いように思います。
不妊治療は 35 歳をひとつの区切りとしてい るので、それ以上の年齢であればきっと主治医もすぐにIVFへのステップアップをおすすめしていたことでしょう。
自転車さんはまだ 33 歳で、検査結果を見る限り何ら問題は見当たりませんし、精子の状態もよい。ただ、ヒューナーテストの結果がいまひとつだったのでAIHをされたのだと思います。
それでも、もうすでに5回トライして結果 が出ていないのですから、AIHであってもHMGの注射を足して卵子の数を増やすなど のステップアップはすべき。
セロフェンⓇだけというのは、刺激が少なすぎるように思います。
自転車さんの場合は妊娠しにくい体質と推測されるので、HMGで卵子を増やしても、多胎の心配はそれほどないでしょう。

加齢による妊娠率の低下

33 歳でも、IVFへステップアップすべきですか。
徳岡先生 IVFでは、卵子の“年齢因子”というものが成功・不成功を大きく左右します。
年齢が高くなればなるほど、染色体異常などが増え、卵子の質が落ち、妊娠率も下がるのです。
せっかく受精しても、培養の過程で胚が分割しなくなる、Day3ぐらいまでで止まってしまって胚盤胞にまで育たない、といったこともよくあるケースです。
自転車さんのAMHの値が不明なので何ともいえませんが、 33 歳の今のうちに元気な卵子を確保しておくことは大変有意義です。
この先IVFで第一子を授かった後に、 35 歳を過ぎて第二子、 40 歳近くなって第三子を欲しいと思った時でも、 33 歳時に採取した凍結卵子を使用できるのですから、大きなメリットになります。
IVFを見据えているのなら、採卵は1歳 でも若いうちに、1日でも早くするに越したことがないと言えるでしょう。
「まだ 33 歳だから、そんなに焦る必要はない」というのも事実ですが、IVFへのステップアップを考えているのなら、できるだけ早い段階でトライしたほうがいいというのも事実です。

体外受精で分かること

着床障害も疑っています。
徳岡先生 着床障害は、IVFに2回以上トライし、順調に育った非常に良い状態の胚盤胞を移植したのにもかかわらず妊娠に至らなかった場合に疑うべきことで、今の段階で心配することではまったくありません。
まだAIHしか試していないのに、悲観することは何もありません。
IVFに進んでみなければわからないことも多いのです。
IVFに進んでわかることとは?
徳岡先生 AIHの場合、精子はきちんと届けられるのですが、肝心の卵子が卵管に入ってなかったとしたらもちろん妊娠は成立しません。
こういったケースでは、IVFが有効です。
排卵された卵子がしっかりと卵管にキャッチされているかは、検査できません。
IVFで妊娠した時に初めて「これまでAIHで妊娠しなかったのは、排卵された卵子が卵管に取り込まれていなかったからなのかもしれませんね」という結果になります。
AIHではダメだったけれど、IVFでは妊娠したというのなら、この“卵管に卵子がキャッチされていなかった”ことが原因と思われる場合が多いのですが、これもIVFへステップアップしなければわからないことです。
子宮内膜症や筋腫といった妊娠を妨げてい るものがわかっていれば、それを治療すればいいことですし、多少の子宮内膜症があっても妊娠されるケースはいっぱいあります。
しかし、不妊の原因のほとんどは“不明”な のです。
だからといって、原因を追究することに大した意味はないのではないでしょうか。
「なぜ妊娠しないのだろう」と思い悩むよりも、「どうしたら妊娠するだろう」と考えるのが不妊治療だと思います。
たったひとつ、目的は赤ちゃんを授かることであり、それに向かって治療方法をステップアップさせていくべきだと思いますし、ステップアップしていく過程で起こるトラブルがあれば、それを一つひとつ解決していけばいいのです。
原因がわからなかったとしても、解決はできるはず。
自転車さんには、年齢的に見てもまだ多くの治療法、可能性が残されているのですから、AIHがうまくいかなかったぐらいで悲観することはまったくありません。

カウンセラーに相談も

IVFにトライするにあたってのアドバイスをお願いします。
徳岡先生 「IVFへのステップアップを考えたい」と言って、相談に乗ってくれない医師はいません。
ただ、アンケートを読ませていただいた印象としては、自転車さんはとても生真面目な方のように思われます。
もしも主治医に声をかけづらいのであれば、IVFコーディネーターやカウンセラーに相談し、詳しい説明を受けるといいでしょう。
フルタイムのお仕事を辞め、現在は専業主 婦とのこと。時間があるとつい、いろいろなことを考えてしまいがちですが、思い悩んでも一つもいいことはありません。
あれこれ悩んでうつむくのではなく、しっかり前を見て新しい治療法にチャレンジしてみてください。

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