AMHが低値なら治療1カ月目でも ステップアップするべき?

宮崎 和典 先生 大阪医科大学医学部卒業。学生時代の新生児医療への興味がきっかけ となり、体外受精や不妊治療の世界を志す。同大学産科婦人科講師を経 て、1992年に不妊症、不育症治療専門クリニック、宮崎レディースクリニッ ク開業。開業当初より泌尿器科の専門医による男性不妊外来を開設す る。A型・しし座。バルコニーで飼っている小鳥たちを見ながら「何だか見てい て飽きないでしょう?」と目を細める先生。ひな鳥の生態、親子の情愛、繁殖 活動など、考えさせられることが多いのだとか。「ひな鳥は親からエサをもらい ながらいつも羽ばたきの練習をしているんですよ」。
さくらこさん(37歳)からの相談 Q. 結婚してすぐにタイミング法の指導を受けるべく不妊治療外来を受診。検査の結果、 AMH0.16未満、LH3.7、FSH14.3、エストラジオール血清17.3、プロラクチン 57.5で、かなり厳しい状況で早めのステップアップをとのことでした。まだ妊娠につい て考え始めて1カ月でこの状況をつきつけられ、どうしてよいのかわかりません。専門ク リニックに転院したほうがよいのか、だとしたら低刺激と高刺激のどちらがいいのか。で きれば子どもは2人欲しいという主人のため、卵子があるうちにできるだけ採取して保存 しておきたいとも思います。妊娠をかなえるために今後、どのようにしていくのがベスト でしょうか?

低AMHから分かること

AMHの値が0. 16 で、医師から厳しい状況だと告げられました。
宮崎先生 残念ながら、検査データを見る限り、ドクターのおっしゃる通りで、状況はとても厳しいと思います。
残された時間が少ないと考えるべきでしょう。
まだ 30 代ではありますが、さくらこさんのAMHの値は閉経周辺期に近いものです。
治療が始まってまだ1カ月ということで、かなりショックは大きいと思いますが、かえって早い時期に検査で詳しいことがわかってよかったと考えてください。
早めにステップアップしましょうと提案された先生のご意見も間違いではないと思います。

低AMHの治療法

今後はどのような治療になるのでしょうか?
宮崎先生 強い卵巣刺激を行っても、1回の月経周期に対して育つ卵子は1、2個でしょうから、低刺激による自然周期に近い形で採卵する方法になると思います。
甲状腺ホルモンのデータから甲状腺機能に異常はないと思われますが、プロラクチンに関しては薬で正常値にしておく必要があるでしょう。
ただAMHの値が低く、プールさ れた原始卵胞の数が残り少ないという意味では不利ですが、それが卵子の質のすべてを決定するものではないということも覚えておいてほしいです。
たとえ1個でも質のよい卵子を育てることができれば、可能性はありますから、なるべくチャンスを逃さないようにしたい。
そういう意味でもタイミングだけにこだわらず、人工授精でも体外受精でも、状況に応じて確率の高い方法を選んでほしいと思います。

卵子凍結について

ご主人のために子どもが2人欲しいので、卵子を凍結保存したいというお気持ちもあるようです。
宮崎先生 希望があれば施設によっては可能でしょうが、正直、その意義があるかどうかわかりません。
少ないチャンスを生かすためにも、まずは1人目の妊娠を考えたほうがいいでしょう。
FSHのホルモン値も12 を超えているので、本当にのんびりしている時間はないと思います。
閉経周辺期というのは、しばらく月経不順の状態が続いて閉経に至る人が多いのですが、ある時突然閉経する人もいらっしゃいます。

臨機応変に対応

先生ならどう治療をされますか?
宮崎先生 人工授精と体外受精を組み合わせて1年程度は様子をみるでしょう。
最初、人工授精で反応をみて結果が出なかったらすぐに体外受精へ。
でも体外受精に進んでも、採卵の当日に排卵してしまうような状況もあるから、その時は途中で人工授精に切り替えることも。
そもそも自然周期というのは採卵までこぎつけられる率が半分以下という人もいます。
特に閉経周辺期では採卵にまで至らないことが結構あります。
そんなに簡単ではないけれど、やれることを臨機応変に根気よく続けていくことがいい結果につながると思います。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。