【Q&A】AMHの急低下~佐藤幸保先生【医師監修】

ひまわりさん(37歳)

現在37歳ですが、昨年7月に2.46あったAMHが、今年の7月に0.76になっていました。初めての採卵に向けて高刺激をしましたが卵胞が一つしか育たなかったためAMHを計測しました。1年でこんなにも下がることはない、原因は分からないとドクターに言われましたが、不妊治療のために服用しているルトラールやプレマリンが影響しているのではと考えてしまいます。ホルモン剤が影響している可能性はありませんか?念の為にと排卵後に服用指示がでている薬なので、影響しているのであれば飲みたくありません。
また、採卵のための刺激方法について、低AMHでも、その周期の卵胞の数によっては高刺激にすると言われましたが、低AMHにも関わらず高刺激をして卵巣に負担はないのでしょうか。
また、AMHは年齢と共に低下する、ある程度数値は前後すると認識しておりますが、「生理周期によって変動する」とネットでの記事がありました。その記事によると、毎月生理3日目にAMHを計測し、値が2.4→0.3→2.3→2.3→0.7とたしかに変動していました。信憑性はありますか?

ハシイ産婦人科の佐藤幸保先生に伺いました。

【医師監修】ハシイ産婦人科 佐藤幸保先生 京都大学医学部附属病院および高松赤十字病院で体外受精など生殖医療を担当。患者さんそれぞれのニーズに応じて、個別化した不妊診療を提供することをモットーにしている。
資格:産婦人科専門医、生殖医療専門医、周産期専門医・臨床遺伝専門医
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
ご指摘のように、血中AMH値は年齢とともに低下します。それ以外にも、低用量ピル(エストロゲン製剤と黄体ホルモン製剤の合剤)の長期内服後や卵巣手術後に低下することが報告されています。また、同一月経周期内でも卵胞期に上昇し、黄体期に低下するといった報告もあります。
 ひまわりさんの場合、1-2年間プレマリン(エストロゲン製剤)やルトラール(黄体ホルモン製剤)を内服されていたことですが、長期間の連続投与ではありませんので、血中AMH値低下の原因とは考えにくいと思います。卵巣手術もしていませんので、主治医の先生がおっしゃるように低下の原因は不明と言わざるをえません。ただ気になるようであれば、プレマリンやルトラールの内服をやめて半年後に再検査してもらえばいいのではないでしょうか(6か月に1回の測定は保険診療でできるようです)。
 低AMHの患者さんに高刺激をしても多数の卵胞発育は期待できませんが、それで卵巣に負担がかかるということもありません。主治医の先生がおっしゃるように、月経中に小さい卵胞がたくさん見られる周期に高刺激をリトライするという方針でいいのではないでしょうか。
 低刺激でも周期によっては3-4個の卵子を採取することができます。また年齢的には、10個に1個程度は妊娠につながる良質な卵子であることが期待できます。大変ではありますが、低刺激での採卵を繰り返すことが妊娠につながると信じ、あきらめずにがんばってください。
・同人物が追跡的にAMH値を測り、差がある場合は誤差と認識されますか?
ある程度の測定誤差はあるでしょうが、年齢による低下の度合いのほうが大きいと思います。
・AMH値の減りが極端に早いことはあるのでしょうか?個人差がありますか?
同一患者で複数回AMHを測定した経験はほとんどありません。ただ、閉経年齢に個人差があるようにAMH減少速度についても個人差があると考えるのが当然でしょう。ですので、この方のように生理的に急減する人がいても不思議はありません。
・不妊治療のために服用しているホルモン剤によりAMH値が変動することは考えられますか?
ホルモン剤の短期投与でAMH値が影響を受けることは考えにくいと思います。
・低AMHの場合でも、その周期のAFCによって卵巣刺激の強弱を変えることはありますか?
理屈にあった期待できる方法だと思います。ただ血中AMH値に比べAFCは客観性に乏しいため、私自身では採用していません。
>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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