検査もしないまま治療がスタート。専門病院に転院するべき?
徳岡 晋 先生 防衛医科大学校卒業。同校産婦人科学講座入局。自衛隊中央病院産婦 人科勤務後、防衛医科大学校医学研究科に入学し、学位(医学博士)取 得。2000年より木場公園クリニックに勤務。5年間の勤務を経て2005 年に独立し、とくおかレディースクリニックを開設。A型・みずがめ座。散歩が お好きで、草花の生長や変化などを眺めてリフレッシュしているそう。「芽が出 て緑になり、花が咲いて実を結ぶ。不妊治療と一緒です。皆さんにも散歩は おすすめです。少し大股で歩くと骨盤の血流も増えますよ」。
そら豆さん(33歳)からの相談 Q. タイミング療法を始めて2カ月。不妊専門病院は遠方のため、一般の産婦人科で治療 しています。まずは検査からのスタートだと思っていましたが、黄体期の血液検査を一 度しただけ。ここでは卵管造影検査もしておらず、希望があれば他院で卵管造影検査 をしてもらうが、すすめていないとのこと。今は生理5日後にクロミッド®1錠を5日+ HCG5000排卵誘発注射+黄体ホルモン補充HCG3000を2日おきに6回という 治療です。もともと低体温なので、デュファストン®を自分から出してもらっています。 HCGの多用は特に疑問で、検査もせずにこの治療を続けることが不安です。専門病院 での治療も視野に入れて考え中です。
不妊検査のタイミング
検査をせずに、排卵誘発をしながらタイミング療法を行っているとのことです。不妊専門病院ではやはり先に検査をしますか?
徳岡先生 いわゆる一般の産婦人科で不妊症を専門にしていなければ、このように検査をせずに、その先生のやり方で治療を行う病院も多いと思います。
不妊専門病院では、まず1〜2周 期の間にスケジュールを組んで検査をします。
患者さんには、初診で行う検査、低温期・高温期で行う検査の項目や、精液検査はどこでするといい、というような予定を書面でお渡ししたりします。
検査が一通り終わったら、結果を見て治療方針を決めていきます。
専門クリニックへ通おう
そら豆さんは、HCG製剤を多用することに不安のようです。
徳岡先生 黄体ホルモンの補充をHCG3000でしているそうですが、最近ではそら豆さんが望んでいるようにデュファストン ® やルトラール ® を使うことが多いです。
誘発でHCG5000を注射して、その後にHCG3000を2日おきに6回というのは、やはり量が多すぎると思います。
HCG3000を使うと排卵した後の黄体のう胞が残ることが多く、持続的にホルモンが出続けるので、FSHを抑制し次の卵が育たないという考え方がありますし、デュファストン ® だけで十分と思います。
通われている病院では精液検査も卵管造影検査もしていないということなので、本格的に治療をするのなら、やはり専門病院に移られたほうがいいのではないかと思います。
専門病院が遠いとのことですが、最近は都市圏には大体いくつかありますので、おそらく1〜2時間で通える範囲ではないでしょうか。
大変だとは思いますが、先々後悔することのないように決断されたほうがいいと思います。
まずはAMH
ご本人もすでに専門病院も視野に入れているとのことです。
徳岡先生 そら豆さんはAMH値も不明とのことなので、AMH検査を行っている病院を探すといいかもしれませんね。
不妊専門の医師が今、治療の際に念頭に置いているのはAMH値だと思います。
精液検査、FSH、LH、プロラクチンなどは、一般の婦人科でも検査できますが、AMH検査をしているかどうかで不妊に力を入れているのかを判定できると思います。
AMHの値を知ったうえで、年齢相応であれば一般的なスケジュールで治療を行い、もし値が悪ければ早めに体外受精などへのステップアップを考えていくことになります。
AMH値は治療方針を決めていくうえで、最も重要なホルモン値になってきているのです。
33 歳とお若いので、専門病院で妊 娠される可能性は高いのではと思います。
しかし年齢が上がると確実に妊娠率は落ちていきますので、時間を大切にしてほしいです。