卵胞が大きくなりすぎます

たびたび13日目で卵胞が40㎜以上になり治療が進みません

操 良 先生 岐阜大学医学部卒業。岐阜大学附属病院で8年間、不妊専門外来を担 当し、1992年には岐阜県下初の体外受精に成功。女性ホルモンに関す る研究成果が認められ、平成9年度に岐阜県医学研究奨励賞を、平成11 年度に日本内分泌学会で研究奨励賞を受賞。現在、操レディスホスピタル 副院長。医学博士。日本生殖医学会認定 生殖医療専門医。先生の病院 でも接種できる風疹やインフルエンザなどの予防ワクチンは、接種後2カ月 間の避妊が必要。「その期間は治療をストップせざるを得ません。接種前に 採卵して凍結することもできます。ご相談ください」と先生。
シロさん(40歳)からの相談 Q. 6年前にチョコレートのう胞を除去し、現在、体外受精に挑戦中です。ここ数年、13日目 くらいのエコーで卵胞がすでに40㎜を超え、治療が中止になることが3~4周期に一 度は起きています。体温は低温期で、内膜は6㎜くらい。3日目の基礎値は正常です。前周期は排卵済みを確認しているので、古い卵胞が残っていた可能性はないと思います。 LUFは卵が排卵予定日を過ぎても排卵せず、大きくなり続けるものだと思うのですが、 私のように短期間で急に卵胞が大きくなることはありますか? HCGを注射した翌周期 にはほぼ毎回卵胞が巨大化しているのですが、医師は無関係と言います。原因と対策を 教えてください。

卵胞の発育スピード

シロさんのように卵胞が大きくなりすぎる原因は、どのようなことが考えられますか?
操先生 遺残卵胞があればエストラジオールの値が高くなるはずですが、3日目の基礎値が正常ということは、エストラジオールのレベルも正常のはずです。
おまけに前周期は排卵が起こっていることを確認しているようですから、遺残卵胞や卵胞のう胞、黄体のう胞、また質問にもあるLUFの可能性はないと思います。
ただ、 13 日目くらいの超音波で 40 ㎜以上とありますが、それ以前の卵胞の状態はどうだったのかなと思います。
シロさんはクロミッド ® とゴナピュール ® を使った低刺激法のようですが、このゴナピュール ® を打つ前くらいにもおそらくエコーチェックをしているはずです。
その時点でまだ卵胞は小さくて、 13 日目くらいに急に大きくなっているのであれば、それは卵胞の発育のスピードの問題かもしれません。
逆に、すでに大きくなっているよ うであれば、卵胞チェックの時期が少し遅いということになります。
短期間で急に卵胞が大きくなることは、よくあるのですか?
操先生 よくあることですよ。毎回同じ刺激パターンで治療していても、卵胞の発育スピードもできる卵胞数も異なる場合はわりとあります。
シロさんも3〜4周期に1回とのことですから、周期による発育差の可能性はあります。

刺激法を変更してみる

HCG注射の影響は考えられないのでしょうか?
操先生 不均一に発育した複数の卵胞があるところに、HCGの刺激で排卵を起こすと小卵胞が排卵せずに遺残卵胞となりますから、遺残卵胞がないことが確かであれば、やはり主治医の先生がおっしゃるようにHCGは無関係ではないかと思います。
ただ、ほぼ毎回とのことですから、HCGの代わりにGnRHアナログを排卵誘発として使ってみてもいいかもしれません。
それから、短期間で大きくなって しまうということであれば、刺激パターンを変えてみるのも一つです。
フェマーラ ® でより低刺激にするか完全自然周期での採卵に変更してみるのです。
それによって、クロミッド ® の副作用と思われる内膜の6㎜という薄さも回復する可能性もあります。

シッカリと検査する

今後は、何から始めればいい?
操先生 まずは、今一度、前周期の排卵と次周期刺激前のエコーで遺残卵胞がないことを確認してはいかがでしょうか。
確認できていれば卵胞チェックの時期はどうなのか、それも問題なければ、排卵誘発などのプロトコールを変えることです。
チョコレートのう胞は再発するこ ともありますが、今回の症状には関係ないと思います。
AMH3・ 11ng/ mL という数値も年齢的にはいい値ですし、まだまだできることはありますよ。
※LUF:黄体化未破裂卵胞。
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