【Q&A】胚盤胞移植8回陰性。妊娠の可能性はあるのでしょうか?~政井先生

みのりんさん(34歳)

二人目不妊で悩んでいます。
原因不明不妊で、第一子を体外受精で5年前に出産しています。その時は初めての体外受精で妊娠、出産に至りました。
二人目の治療を始めて2年が経ち、これまでに8回の移植をしました。
第一子の時の凍結胚盤胞が3つあったのですが、全て陰性。2度目の採卵で8個の胚盤胞を凍結し、グレードの良いものから移植しましたが、全て陰性。うち3回は2個同時に移植しています。
先日3回目の採卵を行い、6個の胚盤胞が凍結できました。卵の質はこれまで全て4BB〜4AAと良質なものです。
このまま移植を続けて妊娠の可能性はあるのでしょうか。
来月初めてのSEET法にトライする予定でいるのですが、ここまで陰性が続くので不安です。
移植前は毎回スクラッチをしています。ホルモン値などは問題ありません。内膜が毎回8mm程度しかないのが問題なのでしょうか。
ERA.EMMA.ALICE、ポリープ、水腫など一通り検査もしましたが、全て問題なしと言われています。
ここまで妊娠しない理由について、どう思われますか? 何かアドバイスをお願いします。

政井先生にお聞きしました。

佐久平エンゼルクリニック 政井 哲兵 先生
鹿児島大学医学部卒業。東京都立府中病院、日本赤十字医 療センター、佐久市立国保浅間総合病院、高崎ARTクリニック 勤務を経て、2014年に佐久平エンゼルクリニックを開院。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください
ご相談ありがとうございます。
内容拝見しました。

たしかに、ここまでうまくいかないと次はどうしたら?となると思います。
これまである程度一通りの検査(母体側に対しての検査)はされている様子なのであとは、胚自体の検査(PGT-A検査などのいわゆる着床前検査)を行うかどうかというところだと思います。

既存の凍結胚に対するPGT-A検査の可否については、施設ごとに考え方が異なりますので、治療施設の担当の先生に確認をしていただく必要があろうかと思います。
PGT-A検査を行う意味合いとしては、そもそも移植をしようとしている胚が将来的に赤ちゃんになれる胚なのかどうかを見極める意味合いがあります。
もちろん100%の検査ではありませんが、将来流産する可能性が高い胚なのか?、着床不全を起こす可能性が高い胚なのか?胚の染色体異数性(数の異常)を調べることで大方の目安をつけることができます。
また、これに先立ち、ご夫婦の染色体検査を調べるという方法もありますが、遺伝カウンセラーや臨床遺伝専門医の面談やカウンセリングを必要とする検査にはなると思いますので若干ハードルが高い検査と言えるかもしれません。
夫婦の染色体を調べる目的は、児に引き継がれる可能性のある染色体構造異常を調べる意味合いがあります。
いずれにしても、母体側で確認し得る検査はある程度一通りされている印象です。
そうなると、胚側の問題(染色体異数性)やさらには胚に引き継がれる可能性のある着床不全の原因となるような両親の染色体検査(ただし、十分な遺伝医療に関するカウンセリング体制の整った施設でという条件はつきます)を行ってみるというのは次に取りうる対応だと思われます。
(第1子を妊娠できた時は、たまたま両親から引き継いだ染色体が過不足なく正常な児を得られた・・というようなパターンも想定されます)
上記と別に、1点気になったのが、移植前の毎回のスクラッチです
流産手術や人工中絶を繰り返した際に内膜が癒着したり厚くなりにくくなるアッシャーマン症候群というのがありますが、不必要に内膜を削り取ってしまう可能性があるのでこの考え方は当方的には否定的です。
内膜8㎜というのは必ずしも妊娠しない絶対的な原因とは言えませんが、毎回の移植決定時の内膜厚8㎜程度というのは確かに薄い気がします。
スクラッチのやりすぎということはないでしょうか??
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