移植前の不正出血、何が原因?

特集1 胚移植の ギモン&不安

胚移植の前の準備期間に起こる不正出血は、何が原因なのでしょうか?

出血している場合でも、移植は行えるのでしょうか。

いくたウィメンズクリニックの生田克夫先生に教えていただきました。

生田 克夫 先生 名古屋市立大学医学部卒業。名古屋市立大学産科婦人科学教室助 教授、名古屋市立大学看護学部教授などの経歴を重ねたが、不妊に悩 む名古屋の方たちの役に立ちたいという思いで、教育者の立場を辞して 独立。地元・名古屋の中心部、栄に開院し、1986年から体外受精の現 場を歩いてきた経験と穏やかな人柄で、数多くの患者さんを妊娠に導く。 診察室内を見渡すと、小さなスーパーマリオグッズがあちこちに。「似てると 言われます(笑)。欲しがられるとあげちゃうのでだいぶ少なくなったけれど、 これは大事というものはケースに入れて保管しています」と先生。

ココがポイント

不正出血の原因と胚移植について

○まずはホルモン値や子宮内のポリープなどを調べることが大切
○頸管内からの出血なら移植しても大丈夫

エストラーナテープ ® と内膜の薄さ

○エストラーナテープ®の効き目には個人差があるホルモン値の反応をみながら枚数の調整を
○出血後から内膜が薄くなるなら原因をきちんと見極めて
ももやんさん( 31 歳) Q. 現在、4回目の凍結胚盤胞移植向けてホルモン補充中です。Day2からエストラーナ ® を貼り、今日でDay 11 ですが、昨夜から少量の不正出血が……。実は前回の移植準備中にもDay 10 頃から出血がありましたが、 少量だし、エコーでは問題なしで予定通り移植を行い、陰性でした。2回連続の不正出血の原因は?また、不正出血があっても移植は行って大丈夫なのでしょうか?

まずはホルモン値を測り子宮内のポリープを検査してみましょう

胚移植前に起こる不正出血の原因としては、1つに子宮の中にポリープができていることが考えられます。
ポリープはできる場所によって差があり、子宮の奥のほうにできている場合はめったに出血しませんが、子宮腔の下のほうにできてしまうと、それほど大きくなくても内膜が厚くなって排卵が近づくと出血します。
ただし、この場合は排卵してしまえば出血は止まりますから、治療中でも黄体ホルモン剤を飲みはじめると出血が止まるということであれば、ポリープが原因になっている可能性はあります。
それを確かめるには、ファイバー スコープで腟内を見てみるのがいいでしょう。
エコーで確認できるのは、かなりの大きさがある場合ですから、ももやんさんのように少量だったり、おりものに血が混じる程度の出血であれば正確には把握できないと思います。
ポリープが原因の場合は、手術で取ってしまえば出血自体もなくなります。
もう1つの原因は、腸の問題です。
女性ホルモン剤というのは、摂取すると体内を回った後に肝臓で代謝され、腸の中に出てきて排泄されるのですが、一部分は腸の雑菌で分解されて、そこでもう1回吸収されるという過程があります。
この時に腸の機能が弱っていたりすると、血中の濃度が下がり、出血となる場合があります。
ただし、定期的に毎周期起こる不正出血となると、このケースは該当しないかもしれません。
ももやんさんは2回連続で不正出血があったということですから、その場合に考えられるのは、先に述べた子宮内のポリープ、もしくはエストラーナテープ ® が剥がれてしまっているということも疑えます。
たとえば汗でテープが浮いてしまって、ご本人も気づかないうちに皮膚への接触面積が減り、エストラジオールの吸収が悪くなり、体内のホルモンが低下して出血しているというケースです。
通常、排卵期の E2 は200〜300 pg / mL ですから、できれば 貼ったその日と、出血が起こる頃の2回くらいのホルモン値を測ってみることをおすすめします。
出血する頃に減少していれば、おそらくテープが剥がれているか吸収が悪いということが考えられます。
その場合は、エストラーナテープ ® の枚数を増やすなりして、通常の排卵期と同じホルモン状態にすれば、出血もおのずと止まるはずです。

子宮ではなく 頸管内からの出血ならば 移植しても大丈夫

ホルモン値は安定しているけれど出血するということであれば、やはり先述のファイバースコープでのポリープ検査をおすすめします。
子宮の奥のほうにあるポリープは着床の障害になることがありますが、入り口近くのものは着床にあまり影響しませんので、この場合は必ずしも移植をキャンセルする必要はないといえます。
とはいえ、胚を戻す時のチューブ の先に血液が付着していると妊娠率は下がるというデータもありますから、できればポリープを取り除いてからの移植というのが通例だとは思います。
仮にポリープではなく、子宮の中以外の頸管などに出血しやすい箇所がある、ということであれば、移植することにはあまり問題はないと思いますよ。
いずれにしても、まずはホルモン 値を測ってみて、安定しているようならファイバースコープ検査で原因を探ることが大切だと思います。
ひろぽんさん( 37 歳) Q. Day2からエストラーナテープ ®を3枚、2日に1回貼り替えています。Day 10 に不正出血が始まっ て、Day 11 に内膜の厚みが4㎜くらいとのこと。3枚も貼って内膜が厚くならないなんて、私の体がおかしいのでしょうか?

エストラーナ ® の効き目には 個人差があります。 ホルモン値をみて調整を

エストラーナテープ ® とは、経皮的に女性ホルモン(エストロゲン)を補う治療薬ですが、その効果には個人差があります。
これは皮膚からの吸収力の差なのかはっきりしないのですが、ちょっと貼っているだけでホルモン値がすごく高くなる方もいれば、3〜4枚貼っても低いままの方もいます。
当院でも1回に4枚以上貼るよう処方することもありますし、5枚くらい貼る人もいます。
また、ひろぽんさんは内膜が4㎜ とのこと。
かなりの量の出血であれば内膜が薄くなることはありますが、それほどのひどい出血でなければ内膜の厚さは意外とある場合が多いので、やはりエストラーナテープ ® の吸収率が悪いのかもしれません。
特に、出血する前は厚かったのに出血が始まると4㎜程度になってしまうということであれば、出血の原因もきちんと見極める必要があります。
要するに、ここでも大切なの は、まずはホルモン値を測ること。一定の枚数で続けていて反応が悪いのであれば、ホルモン値の状態をみながら枚数を増減する必要があると思います。

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