以前、クラミジアの治療済み。昨年の検査で陰性でしたが今回は陽性で戸惑っています

蔵本 武志 先生 久留米大学医学部卒業、山口大学大学院修了。山口県立中央病院産 婦人科副部長、済生会下関総合病院産婦人科部長を経て、1990年オー ストラリア・PIVETメディカルセンターへ留学。帰国後、1995年蔵本ウイメ ンズクリニック開院。O型・おうし座。「先ごろ院内で、不妊治療患者を支え るNPO法人Fineの松本亜樹子理事長を迎えて『患者会』を開きました。 今後も定期的に行いたいと考えています」と先生。電子予約システム活用 のメール配信で参加者も瞬時に集まったそう。患者さんの立場に立った医 療の提供に力を注いでいます。
ねこさん(32歳)からの相談 Q.2012年4月に結婚。今年1月から不妊治療を開始し、血液検査をしたところ、クラミジ ア抗体のlgA、lgG両抗体とも陽性という結果でした。実は5年前にクラミジアにかかり、 薬で治療したことがあります。しかし結婚以来、夫も私も他の人と性交渉はしておらず、私 は昨年10月の検査で陰性、夫も1年半前に性病検査をしており、すべて陰性だったと言 います。 今回、二人で薬を飲んで治療しましたが、卵管の癒着が心配です。私の病院では抗体検 査のほうが正確だというのですが、抗原検査のほうが信頼できるという情報もあります。 また、子宮卵管造影検査は治療後1カ月半はできないと言われており、それも心配です。

クラミジアについて

昨年 10 月の検査で陰性でしたが、感染の覚えもないのに陽性になったことに不安を感じていますが。
蔵本先生 クラミジアは、子宮入り口の子宮頸部に感染源ができ、そこから広がって子宮内膜や卵管に炎症を起こします。
つまり子宮内膜炎、卵管炎を発症し、卵管癒着や卵管閉塞を招いたりするものです。
さらに、卵管から腹腔内の感染や骨盤腹膜炎などの原因になります。
卵管が炎症を起こして狭くなったり閉塞するので、不妊症の原因の一つにもなります。
その点でもご不安なのでしょう。
ところで、クラミジアに感染する と必ず免疫系の抗体ができるので、 l g A抗体、l g G抗体ができます。
感染直後であればl g G抗体はどんどん上がるか高値を維持します。
しかもl g G抗体は、クラミジアが治ってもずっと血中に残ります。
これに対してl g A抗体は、値が年単位で徐々に下がってきます。
急激に下がらない人もいるので、ねこさんも、5年前の感染でl g A抗体がまだ出ているのかもしれません。
1年ごとに計測していれば、下がってきているかどうかがわかるでしょう。
ですからl g A抗体が陽性だからといって、最近感染したものであるとは限りません。

抗原検査と抗体検査

前々回と前回は、腟内分泌物から抗原検査をしたそうですが。
蔵本先生 正しくは子宮頸部のクラミジア抗原検査だと思います。
腟の分泌物で検査はしないので、もしそれをしていたらおかしいです。
抗体検査と抗原検査、どちらがいいのでしょう?
蔵本先生 子宮頸部をこすってクラミジアの抗原を調べるのが一番正確ですね。
PCR法といって、ごく少量のクラミジアも検出できます。
女性が陽性ならパートナーも検査する必要があります。
男性の検査は、尿道の中のクラミジアを見つけるために、朝一番の尿で調べます。
ただ男性の方の場合、尿検査では、陽性が出ないこともあります。
もし感染していても抗生物質のジスロマック ® をカップルで1回4錠飲めばだいたい治ります。
服用2週間後に女性側を再検査して陰性になったか確認します。
ほとんどの場合はこの方法で治り ますが、万が一陽性でしたら、もう1回治療します。
ねこさんは過去2回の検査が抗原検査だったとして、2回とも陰性だったのですからその心配はないでしょう。

今後の展開

ねこさんの場合は治っている?
蔵本先生 ご主人と二人ですでに抗生物質も飲んでいますし、一応治っていると思いますよ。
そもそも今回のl g A抗体とl g G抗体の出現は過去の感染が原因だと思われます。
新たに感染したのではないでしょう。
抗原検査が陰性であれば、子宮卵管造影も行っていいですよ。
むしろ、過去の感染のために卵管が詰まっていることも考えられますので、その意味でもすぐに子宮卵管造影検査を行ったほうがいいでしょう。
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