採卵後に必ず不正出血が。ホルモン剤のせい?完全自然周期の移植は無理?

生田 克夫 先生 名古屋市立大学医学部卒業。名古屋市立大学産科婦人科学教室助教 授、名古屋市立大学看護学部教授などの経歴を重ねたが、不妊に悩む名 古屋の方たちの役に立ちたいという思いで、教育者の立場を辞して独立。 地元・名古屋の中心部、栄に開院し、1986年から体外受精の現場を歩い てきた経験と穏やかな人柄で、数多くの患者さんを妊娠に導く。毎朝早くか ら、ゴールデンリトリバー2匹とミニチュアシュナウザー2匹の計4匹の愛犬 を、なんと1匹ずつ散歩させるという先生。それは大変と思いきや「いいウォー キングです」と優しい笑顔で答えてくださいました。
ぷりんさん(39歳)からの相談 Q.36歳の時に自然妊娠→6週目で稽留流産。現在は体外受精2回が陰性で、AMHも低く、 黄体機能不全ぎみです。強い排卵誘発は行わず、クロミッド®とゴナールエフ®で卵子が3 個できましたが、少し卵巣が腫れ、採卵後に不正出血が約2カ月継続したこともあり、2回 目はクロミッド®のみに。2回とも2個の胚盤胞までは育ちましたが着床しません。 また、移植に向けて腟剤を使うと必ず不正出血し、プラノバール®を1週間処方されても 出血がずっと止まらず、次の生理が始まるという感じです。診察上は問題ないとのこと。今 回、凍結胚移植に向けて準備中ですが、生理3日目からエストラーナテープ®を貼用し、 Day7からまた不正出血……。ホルモン剤が合わないように感じますが、やはり補充は必 要? 完全自然周期は無理ですか?

年齢と染色体異常

ぷりんさんは移植前に必ず不正出血があるそうですが。
生田先生 診察上は問題ないとのことですが、あまりに何度も続くならば、子宮内に病変がある、たとえばポリープなどの可能性もあります。
一度、ファイバースコープで子宮内を見てみるか、子宮内を超音波で見るソノヒステログラフィーなどで子宮腔に突出しているものがないかを調べてみるのもよいのではないかと思います。
また、着床しない原因については、 受精卵側の問題も考えられます。
というのも、 39 歳であれば染色体異常の確率も高くなり、受精卵の8割近くに異常が出てもおかしくない年齢です。
特にそれ以外の原因がわからない場合には、移植の方法を変えてみてはいかがでしょうか。
たとえば2つの受精卵を戻すのであれば、二段階胚移植や1つでのシート法なども着床障害には有効といわれています。

座薬、注射、飲み薬、パターンは豊富

ホルモン剤が合わないのでは?
生田先生 たとえば腟剤のような坐薬なら、 10 日も連続して使えば、合う・合わないではなく、出血する場合があります。
理由は、坐薬の濃度が非常に高いので、腟の奥に高濃度のプロゲステロンが溜まり、子宮の入り口がうっ血するからです。
そうなると少し触っただけでも出血します。
坐薬でなくても本当に薬が合わない場合は、気持ちが悪くなるなど体調が損なわれるはずです。
とはいえ、患者さんにとっては出血すること自体、不安ですよね。
ですから当院では、基本的に坐薬は毎日は使わず、注射と交互に併用して子宮入り口に高濃度の成分が溜まらないようにしています。
あとは注射と飲み薬とか、坐薬と飲み薬。
そういった3つの組み合わせで進めます。
それでも出血がある場合は、服用 した薬の血中濃度が十分に上がらないことも原因と考えられますが、その場合は薬が合わないというよりもホルモンの量を上げればいいことです。
いずれにしても、ホルモン値を測りながら臨機応変に投与量を考えることが大切ですね。

黄体補充の必要性

黄体機能不全ぎみの場合、ホルモン補充はやはり必要ですか?
生田先生 採卵した周期には、やはり必要です。
注射を打って採卵後1週間くらいまではホルモン値はかなり維持されますが、その翌週の1週間に一気に下がります。
場合によっては 10 分の1くらいまで下がってしまいます。
そこをホルモン補充療法で支えないと内膜の調子が悪くなったり、それこそ出血したりします。

完全自然周期でも

完全自然周期はどうでしょうか?
生田先生 完全自然周期の問題は、排卵のタイミングをうまくつかめるかと、生理不順の周期にはホルモンが不安定になることです。
ですから、完全自然周期というよりは、HCGくらいは使ってホルモンを安定させたり、黄体期に黄体補充する必要があると思います。
※二段階胚移植:受精卵を移植するにあたり、初期胚を採卵後の2〜3日後、別の胚盤胞に至った胚を5〜6日後の2回に分けて移植する方法。
※シート法:胚盤胞とそれを培養した培養液を別々に凍結・保存し、移植の 際、先に培養液を融解して子宮に注入し、その後に胚移植する方法。

 

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。