治療を始めて4 年目。なかなか採卵できませんが治療をお休みしたほうがいい?

長期にわたる治療で精神的にも思い悩む日々。 体のためにも治療を一度休んだほうがいいのでしょうか? 幸の鳥レディスクリニックの  先生にご相談しました。

ささ山 高宏 先生 産業医科大学医学部医学科卒業。産業 医科大学病院、和歌山労災病院、九州 労災病院、セントマザー産婦人科医院の 勤務を経て、1997年4月、幸の鳥レデ ィスクリニックを開業。患者さん一人ひと りを大事にする姿勢で生殖医療に携わ る。A型・おひつじ座。最近は、ミジン コなどのプランクトンを採取して、顕微 鏡で愛らしい姿を観察することにはまっ ているそう。また、サンフレッチェ広島 の熱烈なサポーターでもある先生は、今 季の優勝を信じています。

ドクターアドバイス

◎ 1回1回の治療を工夫して
◎ 担当医と納得いくまでコミュニケーションを
◎ 毎日の生活を楽しむことが一番
モコモコマムさん(36歳) Q.不妊治療を始めて4 年が経ちます。最初はタイミング 療法で 6 回、人工授精を5 回しました。その時子宮筋腫のある場所を詳しく調べたところ場所が悪く、手 術で取り除くことに。子宮筋腫を取って人工授精を3 回しましたが妊娠しませんでした。その後、体外受精 へステップアップをし、2 回採卵。1回目は低刺激法 でするも1個しか採卵できず、卵子の質が悪いとい われました。2 回目は注射で刺激をしましたが、空胞 で採卵できず。 数カ月体を休めて治療を再開すべきか、悩んでいます。 また、どれぐらいの間隔で採卵しているのかもわから ず、先生に言われるがままに治療しています。

モコモコマムさんの投稿に寄せられたコメント

うーたん(音楽講師・36歳)  不妊治療を始めて4年目です。原因不明で体外 受精していますが、前回の陰性結果後、心身と もに疲れ、経済的にも厳しくお休み中です。治 療から解放されて、今はとても気持ちが楽です ♪ さて、私の場合ですが、先生に言われるが ままに治療を進めると、自分の心を見失い、パ ニックになりそうだったので、2回目の採卵以 降は不妊治療ノートを作って心の整理に使って います。ちなみに、治療再開は秋頃と考えてい ますが、まだ未定。この夏をストレスフリーで 楽しんで、気持ちが向いたら、具体的に決めた いと思っています。たまにはお休みも必要かも しれません。長期戦ですから……。

排卵誘発の考え方

体外受精にステップアップされたモコモコマムさんの治療内容について、どう思われますか?
ささ山先生 まずはモコモコマムさん、4年間の治療、本当にお疲れ様です。
ARTにおいて受精技術、培養技術等も大事ですが、質のいい卵子を採取することが妊娠への道の第一条件だと思います。
刺激周期による治療は、ロング法、ショート法、アンタゴニスト法があります。
モコモコマムさんの担当の先生は、卵巣年齢の指標になるAMHの値や月経3日目の胞状卵胞数などから、モコモコマムさんには低刺激法がいいと考えて、治療の選択をされたのだと思います。
低刺激法は患者さんの体に優しく、経済的にもメリットがあります。
しかしながら、結果的に卵子が採れなかったり、受精しなかったりで、移植ができていませんね。
妊娠への期待もなく、2回の採卵が終わってしまい、モチベーションが下がってしまったり、不安につながっているのだと思います。

医師と関係性を構築する

今後、どのように治療を進めていけばいいでしょうか?
ささ山先生 モコモコマムさんの状態をよくわかっていらっしゃる担当の先生によく相談して、今までと違うショート法やアンタゴニスト法で、一度、強めに卵巣を刺激して採卵するのもいいと思います。
患者さん一人ひとりに合う刺激法、その時その時に合う刺激法を選択することが治療において極めて大切なことです。
刺激の方法が変われば、採取できる卵子の質や数がまったく変わり、妊娠に近づくというケースはよくありますから。
治療の継続がお母さんになる道につながりますが、そのためには先生としっかり&ゆっくりお話しして、自分の気持ちを伝えること。
相談内容に「先生に言われるがままに治療している」とありますが、医師としっかり話すことは、治療を前向きに納
得して進めるためにとても必要なことです。
モコモコマムさんと先生、そしてクリニックのスタッフは、目的を同じとする同志ですよ。
私のクリニックにも、治療が長期間にわたる患者さんがいらっしゃいます。
私の場合、基本的には患者さん主導、そして彼女の話をよく聞く、同調することを心掛けています。
焦る気持ちや悩みはつきものです。
でも、一緒に治療を行う同志として、同じように悩み苦しみます。
妊娠反応がわかる日は、家族のようにドキドキしたり、うまくいけば一緒になって喜びます。
患者さんと担当医師という関係であることには違いないのですが、モコモコマムさんの相談内容を見るかぎり、なんとなく先生と距離があるように感じました。
疑問や不安があれば、もっと先生にぶつけていいと思いますよ。
1回1回の治療を工夫するために、しっかり先生とコミュニケーションをとり、患者さんご自身が治療内容をきちんと納得していれば、採卵できなかった場合でも、少し落ち込むことはあっても、前を向いていくことができると思いますよ。
そうして担当の先生と信頼関係を築きあげていくものではないでしょうか。
治療の主体は患者さんご自身です。自分の意思や考えをしっかりぶつけてみるといいですよ。

時には、治療を休むことも

治療が長期になり、モコモコマムさんのように一度休もうかと思う方もいらっしゃると思いますが。
ささ山先生 不妊治療を行っている間は、子どもを授かることだけを考えて、その先のことを考える余裕があまりないというのは事実だと思います。
でも、人生は、不妊治療がすべてではありません。
治療の継続も切ですが、気持ちが行き詰まった時は治療をしばらく休んで、ご夫婦で旅行に出掛けたり趣味に没頭したりして、心も体も治療から離れ、リフレッシュすることは今のモコモコマムさんに必要なことかもしれませんね。
毎日の生活で、ジョギングで汗を流したり、音楽を聴いたり、自分だけの世界にこもらない工夫もしてみましょう。
治療と生活との一番いい距離感がきっと見つかりますよ。
おすすめの特効薬があります。
僕の大好きなザ・クロマニヨンズの「雷雨決行」という曲を聴いてみてください。
閉塞した気持ちがパンと弾けて、元気になるよと思うよ。
治療も大切ですが、毎日の生活が楽しいのが基本。その基本は忘れず、モコモコマムさんがお母さんになれることを僕も願っています。
きっと大丈夫。
※ロング法、ショート法、アンタゴニスト法:いずれも体外受精を目的に卵巣から採卵するため、ホルモン剤を多めに使って排卵を誘発する。GnRHアナロ グという点鼻薬の投与時期の違いによって、ロング法とショート法に分かれ、点鼻薬を使用せず、GnRHアンタゴニストを皮下注射する場合をアンタゴニス ト法という。GnRHアナログ(スプレキュア®、ナサニール® などの点鼻薬)を月経前の黄体期から使用するのがロング法、月経開始とともに使用しはじめ るのがショート法。AMH値やFSH値、目的によって選択する。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。