住む場所を変えたら、運命まで変わった? 子どもはおそらく望めないだろう 。
けれど、諦めないでいてよかった!
“奇跡”は、きっと誰にでも訪れるはず。
信頼できる医師との出会い、環境の変化で、 無月経症を克服し、新しい命を授かるまでに!
「赤ちゃんが欲しい!」という強い思いで、 幸運を引き寄せた、ユミコさんの物語です。
無月経症ゆえに、 結婚にもためらいが
現在も専門学校の職員として働くユミコさん( 33 歳)が、2歳年上のアツシさんと出会ったのは、友人の結婚パーティーがきっかけでした。たまたま隣り合わせに座った二人は意気投合。その場でお互いの連絡先を交換し、交際がスタート。それからわずか 1 年後には、結婚話が自然に持ち上がりました。しかし、ユミコさんには結婚をためらう事情がありました。
「私、無月経症だったのです。だから、おそらく子どもは望めないと、正直に打ち明けました」とユミコさん。子どもの産めない体であれば、きっと結婚も難しいはず。一生独身で過ごすかもしれない、と漠然とした思いを若い時から持ち続けていたとも言います。
やっと、“運命の人”と思えるアツシさんに巡り合えたというのに────。
しかし、それでもアツシさんの気持ちは揺るぎなく、少しも変わることはありませんでした。「子どもが欲しくて結婚するわけじゃない。子どものいない夫婦だって少なくないのだし、二人一緒ならそれだけでいい」と、ユミコさんの気持ちを優しく受け止めてくれました。
そして、2010年に晴れて入籍。挙式はハワイのチャペルで執り行いました。
「無月経」の原因は、 中学時代からの摂食障害
ユミコさんの無月経の原因は、摂食障害にありました。中学 2 年生の時から思うように食事がとれなくなり、一時は体重が現在の半分程度の 25 ㎏にまで落ちたといいます。医師からは「いつ心臓が止まってもおかしくない」と宣告されるほどの重症でしたが、ユミコさん自身は深刻に受け止めてはいませんでした。これが、摂食障害の恐ろしさでもあります。
大きな原因は思い当たらず、 家族や周囲の心配もあって治療も試みたものの、信頼できる医師には出会えず、転院を繰り返しました。「それでも希望の学校へ進学、スムーズに就職できたのは、家族や親しい友人たちが支えてくれたから。周囲の人が温かく見守ってくれたことに、とても感謝しています」と、 ユミコさんは振り返ります。生理も止まり、婦人科にも通いましたが、こちらも医師がさじを投げるほどでした。
「“このホルモン値じゃ話にならないよ”と言う医師もいました。“結婚して子どもが欲しくなったら考えようか”と、まともに取り合ってくださらない医師や病院に失望したことも何度もあります」と、ユミコさん。
それでも諦めず、結婚後はさらに熱心に治療に励みました。そんな時、子宮頸がん検診の通知が届きました。検査のために地域の指定病院を訪れてみると、不妊治療にも力を入れていることが判明。雰囲気も良く、 「ここなら!」と、ユミコさんは直感的に、このクリニックへの通院を決めたと言います。
「通いやすい場所だったこと、ネット予約・キャンセルができるので、働きながらでも治療しやすかったこともありますが、何より女性の先生も看護師さんも、とてもよく私の気持ちを理解してくださって、“大変だったね。頑張りすぎず、ゆっくり治療しましょう”と声をかけてくださったのに感動しました。そんな優しい言葉をかけてもらったことがなかったので、つらい治療もここでならきっと耐えることができる!と思いました」
しかし、それでも治療は思うように進みませんでした。ホルモン剤を投与して月経を促したうえでのタイミング療法を、 3 カ月施しては 3カ月 休む、というサイクルの繰り返し。薬の副作用で気持ちが不安定になり、夫のアツシさんにイライラをぶつけることもあったとか。
「女性はホルモンに支配されている、と以前に何かの本で読んだことがあって。彼女がイライラしたときは、“ホル モンのせい! ホルモンのせい!”と割り切りました」と、笑い飛ばすアツシさん。
そんな頼もしい夫の支えもあり、 ユミコさんは我慢強く治療を続けました。「ステップアップできません か?」と、先生にご相談しても、私の今の子宮の状態では、これ以上のホルモン療法に耐えられないとのことでした。タイミング療法で淡々とやって いくしかないと言われ、文字通り淡々と治療を続ける日々でした。
引っ越しを機に好転! 幸運が舞い込むように
ところが、ある日突然に“変化”が訪れました。
「 2 年前に、現在住むマンショ ンに引っ越してきました。そうしたら、なぜか不思議なことに、自然に生理が来るようになったのです。薬も補助的に服用するぐらいで、その年の秋には妊娠反応も出ました。残念ながらなかなか妊娠までは至りませんでしたが、その後も 3 カ月おきに妊娠反応が3 回あり、希望が持てるようになったのです」
それでも、月経周期は 40 日以上と長く、基礎体温表とにらめっこの毎日。「 3日後にも う一度」「 1 週間後にもう一度」と医師に言われるまま、忙しい仕事の合間を縫ってユミコさんは通院もこなしました。その努力が実り、なんとついに妊娠!出産を 4 月に控えています。
「引っ越してきてから、なんだか体調もいいんです。惜しいことに夫の都合で行かれなかったのですが、豪華リゾートの旅行モニターに当選したりと、ラッキーなことが続いて。風水や占いなどにこだわったわけではないのですが、引っ越しをきっかけに、何か運命の歯車みたいなものが変わった気がします」
また、一昨年前、アツシさんの祖父の法事での出来事。
「同世代の従弟、夫の妹と 4 組が妊娠中であることがわかって、なんだかパワーをもらいました。根拠のないことではありますが、きちんとご先祖参りをすると、やはり良いことがあるのかなぁ、とも感じましたね。子宝の御利益を授けてくださるという神社仏閣も数多く参拝しましたが、やはり大切にしたいのはご先祖参り。私が子宝を授かることができたのも、何かご先祖様の力を感じます」とユミコさん。
「摂食障害」も個性と 上手に向き合っていく
今もまだ、ユミコさんの摂食障害との闘いは続いています。以前よりは食べられるようになったと感じていますが、夫のアツシさんから見るとまだまだ十分とは思えないそう。それでも、精神的にはおおらかに構え られるようになりました。
「高いところ、狭いところが苦手、という人がいるように、私は食べることが不得手なだけ、と割り切りました。まだたくさんは食べられませんが、お腹の子が欲するだけは食べられます。食べます!赤ちゃんは、夫のDNAを受け継いでいるからきっと我慢強いはずだし(笑)」
天から授かった幸運。目に見えないものの力に今はただ感謝し、安産を願う二人です。