閉経近い数値のAMHに精子の運動率も悪い。早めに体外受精へ進むべき?

浅田 義正 先生  名古屋大学医学部卒業。1993年、 米国初の体外受精専門施設に留学し、 主に顕微授精を研究。帰国後、日本 初の精巣精子を用いた顕微授精によ る妊娠例を報告。2004年、浅田レ ディースクリニック開院。2006年、 生殖医療専門医認定。結果重視のア カデミックな視点で、最新の治療法を 次々と取り入れている頼もしきドク ター。今年6月には、名古屋駅前に 体外受精治療専門クリニックを新しく 開院予定。「日本一のラボを作り、今 まで以上にレベルの高いARTを提供 します」と先生。
あいるさん(36歳)からの投稿 Q.私は抗ミュラー管ホルモン(AMH)4.9で、 主人の精子は運動率11.3%。 タイミング療法半年→人工授精半年→体外受精と 2 年が目安の治療方針で、体外受精へ進むタイミングは 「医師が言うのではなく二人で決めてください」と言われ、 なんのための検査だったのかもわからなくなっています。 やはり、早めに体外受精へ進むべきなのでしょうか?

AMHの重要性と意味

あいるさんは、 ’08 年2月と ’09 年8月の2回、LH、 ※SH、プロラクチン、ヒュナーテスト、AMHいくつかの検査をしており、その結果、FSH 11.46 、 ※在性高プロラクチン血症、AMH 4.9 という数値が出ています。先生は、この検査結果をどう見ますか?
浅田先生 プロラクチンやFSHは、私はあまり重要視しません。生理がきちんと来るなら、プロラクチンが少々高くても無理に下げる必要はないし、FSHは前周期にホルモン剤を飲むことなどの影響で、かなり数値が変動しますから。しかし、FSH 11.46 は高いです。
で も、重要なのはAMH 4.9 の数値。これは確かに、 45 歳を過ぎた人の平均値と言えます。
しかし、AMHの数値は原始卵胞そのものの数を示すわけではありません。
発育過程の卵胞から分泌されるホルモンの数値を見て、卵巣内にはおおよそこれくらいの卵胞が残っているだろうと測るものですから、絶対的ではない。
むしろ、卵の質や妊娠率に比例するのは、その人の年齢です。ゆっくりはできませんが、まだ方法はありますよ。

顕微授精も視野に

なんのための検査だったの、という気持ちにもなっているようです。
浅田先生 そうですね。この検査結果であれば、ステップアップしましょうね、あなたが決めてください……どころか、やはり今すぐ体外受精へ進むべきだと思いますよ。
まずは、 ※ レアアップを利用した ※ョート法を1回試して、それで無理ならクロミフェンの刺激で毎月少しずつ採卵していく。
同年代の方と比べ、早く閉経する可能性がありますから、ここ1〜2年が勝負でしょうね。
そして顕微授精も視野に入れたほうがいいですね。
顕微授精もですか?
浅田先生 通常の体外受精は、一つの卵に 10 万〜 20 万の運動精子を振りかけるものですが、運動率が悪いと数があっても受精率はかなり低くなる。
ご主人の精子の運動率 11.3 %は、 顕微授精も考えるべき数値だと、私は思います。
あいるさんには子宮筋腫(2㎝)もあるそうですが。
浅田先生 これは、内膜に近いところなど着床の妨げになる場所にあるのなら、早めに手術したほうがいいですね。
それ以外なら、まずは卵を採るのが先。
今の年齢の受精卵を凍結できれば、 36 歳の卵の質をそのままキープできますから、たとえば3年後に融解胚移植を行ったとしても、 36 歳のときの妊娠率が期待できると思いますよ。
卵胞刺激ホルモン(FSH):卵胞の発育を促す。 
※潜在性高プロラクチン血症:日中の安静時のプロラクチン値は正常であるにもかかわらず、夜間になると高値を示す病態。黄体機能不全などが みられ、ブロモクリプチンなどの投与が有効といわれる。 
※フレアアップ:ゴナドトロピン放出ホルモンの投与により、ゴナドトロピンホルモンが大量に分泌され、 その結果たくさんの卵胞が卵巣で発育する現象。これにより多くの卵子を採卵できるようになる。 
※ショート法:月経開始日からGnRHアナログ製剤を使用し、月 経3日目からHMGを7日間連続して筋肉注射する方法。 
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