不妊治療薬って太りませんか?【医師監修】

ジネコに寄せられるお悩みで、 意外に多いのがコレ。 「不妊治療で太っちゃった……(涙)」 治療と肥満、何か因果関係があるのでしょうか? 西垣ARTクリニックで西垣新先生に伺ってきました。

【医師監修】西垣 新先生 島根大学医学部卒業。聖隷 浜松病院産婦人科で、体外 受精・腹腔鏡などの不妊治 療に従事した後、2003年、 西垣ARTクリニック開業。 それぞれが資格をもったスペ シャリストであるスタッフが 常勤。患者さんと医療スタッ フの距離は近く、「素性と背 景のわかる卵との関係」を 保っていきたいと考えている。 誠実なやぎ座のA型。

ドクターアドバイス

あわない薬ならやめたっていい。 選択肢はたくさんあるから
まりさん(派遣・32歳)からの投稿 Q.6年ほど前まですごく太っていたので、 20キロ、ダイエットしました。 デュファストンのせいで多少太るぐらいだと思うのですが、 自分の意識とはうらはらに 過去の嫌な惨めな思い出がよみがえってきてしまいます。

ホルモン治療と体重

ジネコには、不妊治療で太ってしまった方や、太ってしまうんではないか……という悩みがたくさん寄せられます。特に投稿者のまりさんは、体重増加のことでとても不安をもっているようです。
西垣先生 まりさんの場合、 ※ュファストンを飲んでいるようですね。デュファストンは黄体ホルモンで水分貯留作用があるため、むくみやすくなります。多少体重が増えたように感じる方もいるでしょう。
でも、それは一時的なものです。飲むのをやめれば、元に戻るはずですよ。デュファストンの影響で体重増加というのは、ふつう何キロくらいの範囲なのですか?  
※デュファストン:一般名ジドロゲステロン。合成の黄体ホルモン剤。
また、むくみによる体重増加というのはよく聞きますが……?
西垣先生 人によって差があると思いますが、むくみ分の体重増は、せいぜい1、2キロくらいでしょうね。
それから「ホルモンの影響で太るか?」ということですが、そういうことはあまりないといえます。
 
ただ、ホルモンと肥満の関係をいえば、

太っている人はホルモンのバランスをくずしやすい。そのために排卵障害を起こしやすく、不妊につながることもあるようです。不妊治療のためにも、体重管理は大切です。まりさんが、すごく太った状態か らダイエットに成功したことは、不妊治療にとってとても意義があると思いますよ。

とはいっても、一生懸命になりすぎて、「それがすべて」になってしまってはいけません。僕は何事ものめりこみすぎることは、良いとは思っていません。   たとえば絶食や運動が激しい〝ビ リーズブートキャンプ〞などは、ちょっとやりすぎかな。その反動で、体重が増加した時、いっそうつらく感じるのかもしれません。「あんなに頑張ったのに」って。

ストレスによる体重増加?

体重の増減は、女性にとっては魔物です。ほかにも、不妊治療を始めてから、なぜかドンと体重が増えた。食欲が出て困ると悩むジネラーさんもいます。ホルモンのせいじゃなければ「どうしてなの?」と。
西垣先生 ストレスでつい食べ過ぎてしまうのかもしれません。例えば排卵までのストレス。または、排卵があってタイミングもとれた後の結果待ちのストレスと……。
それより僕が気になるのは、まりさんが、

「体重が増えることに悩んでいるから、赤ちゃんが来てくれないのか」と、自分を責めていること。不妊治療中は、どうしても自信を失いがちで、これがまたとても大きなストレスになってしまう。

私たちのクリニックでは、ストレスだらけの不妊治療だからこそ、「体重増えて悩むのは正常だよ。まりさんは頑張ってるよ」と、言ってあげることは大切だと考えています。
さらに、そんなさまざまな悩みをサポートできるように、体制作りをしているんです。受付も看護師も不妊カウンセラーや認定看護師の資格保持者。

ですから電話応対の時から、カウンセリングが始まるようなものですし、いつでも的確なアドバイスができるのです。

では患者さんのストレスを敏感に察知していかないといけないですね。

ドクターとのかかわり方

西垣先生 そのために診察室で話しにくいことは、スタッフに気軽に相談できるような環境作りをしています。でもまりさんの場合、「この薬を飲んでから体重が増えはじめて、精神的につらい」ということを、ちゃんと医師に話したのかな?
というのは、彼女の状態だとデュファストンがどうしても必要だとは思えないんです。悩むくらいなら、飲まないほうがいいんじゃないかと。もしくは薬を変えるとか、注射にするとか、選択肢はほかにもあります。
デュファストンに限らず、治療や薬で不安なこと、わからないことがあったら、率直に相談してほしいと思います。私たちは、さまざまな面から、その人にとって一番いい解決策を見つけることができるのですから。それぞれのプロとしての視点でね。
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全記事、不妊治療専門医による医師監修

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