【用語集】卵子活性化処理法(カルシウムイオノフォア)

難しい用語がいろいろと出てくる不妊治療の現場。

治療でよく聞く用語だけど、あまり正確に知らないものも多いのでは?

勘違いや思い込みを防ぐためにもしっかり確認しておきましょう。

クリニックの先生に用語の解説をしていただきました。

卵子活性化処理法(カルシウムイオノフォア)

通常の受精は、精子が卵の透明帯(殻)を貫通し、卵子の細胞膜に接着すると、精子から卵活性化物質が放出され、卵細胞質内の小胞体からカルシウムイオンが放出され、数時間にわたって波状に卵細胞質に広がり卵子の活性化が起こり、受精が正常に成立し、受精後の分割も順調に進みます。

顕微授精の場合、直接針を使って精子を卵の細胞質に運び込むため、精子が卵細胞質に接着し、卵活性化物質を放出する過程がないため、前もって精子の細胞質を傷つけて、卵活性化物質を漏出させます。

しかしこれが不十分で、受精率の低下や胚発達不良が起こる例があり、そのような場合に卵子の活性化補助を行います。

カルシウムイオノフォアは、卵細胞質内のカルシウム濃度を上げることにより、卵子の活性化を補助する方法です。

電気刺激が用いられることもあります。当院では物理的に卵活性化を促す方法も行っています。

岡 親弘 先生

岡 親弘 先生 慶應義塾大学医学部卒。産婦人科に入局、不妊症・不育症の研究治療を行いローズレディースクリニック等々力院長を経て2000年12月不妊症専門クリニックである東京HARTクリニックを開業。2005年10月ASRM(アメリカ生殖医学会)にてヒト胚盤胞のガラス化保存法とAS(artificial shrinkage)の有効性についてHARTグループとして発表し、日本人で初めて表彰される。
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