難しい用語がいろいろと出てくる不妊治療の現場。
治療でよく聞く用語だけど、あまり正確に知らないものも多いのでは?
勘違いや思い込みを防ぐためにもしっかり確認しておきましょう。
クリニックの先生に用語の解説をしていただきました。
アルコール固定術
卵巣チョコレート嚢胞の治療法の1つ。
嚢胞に針を刺して内容物を吸引し内部を洗浄します。
そこにアルコール(無水エタノール)を注入し固定させます。
その間にアルコールの脱水作用により内膜症の細胞を変性壊死させて、再発を抑える方法です。
固定後はアルコールを吸引し、再度嚢胞内を洗浄します。
通常、お腹に小さな穴を複数開けて行う腹腔鏡下、あるいは超音波プローブを腟から挿入する経腟超音波ガイド下で行いますので、お腹を切らず、日帰り手術も可能です。
手術により卵巣チョコレート嚢胞を切除する場合、卵巣の正常な組織まで切り取るため卵巣機能が低下します。
アルコール固定術では正常な組織はそのままなので卵巣機能を温存でき、注入したアルコールによる卵巣への影響もありません。
不妊治療中の場合、嚢胞が小さくなるので、処置後にすぐ採卵もできます。
なお、この方法は悪性腫瘍の可能性がある場合には適応外ですので、実施前に超音波検査やMRI、血中腫瘍マーカーで良性であることを確認しなければなりません。
奥 裕嗣 先生
奥 裕嗣 先生 1992年愛知医科大学大学院修了。蒲郡市民病院勤務の後、アメリカに留学。Diamond Institute for Infertility and Menopauseにて体外受精、顕微授精等、最先端の生殖医療技術を学ぶ。帰国後、IVF大阪クリニック勤務、IVFなんばクリニック副院長を経て、2010年レディースクリニック北浜を開院。
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