みーちゃんさん(27歳)
次で移植5回目です。
4回目までは別の病院で行い、比較的良好なグレードの胚を移植しても全て着床に至っていません(5日目4BB 4BB 4AB 4AB 自然周期、ルトラール周期、ホルモン補充周期全て実施)。
転院して、初の移植になります。
より着床の確率が高まる移植の方法等があれば教えていただきたいです。
自分が調べた中だとSEET法、子宮内膜スクラッチ法があると聞きましたが、これに適応する人やメリット・デメリットを知りたいです。
また、他にも何か出来る方法があれば教えてください。
東京ARTクリニックの小川 誠司先生に伺いました。

2004 年名古屋市立大学医学部卒業。2014 年慶應義塾大学病院産婦人科助教、2018 年荻窪病院・虹クリニック、2019 年那須赤十字病院産婦人科副部長、仙台ART クリニック副院長を経て2023年9月、藤田医科大学東京 先端医療研究センターの講師、2024年4月に准教授に就任。2026年2月から東京ARTクリニックの院長に就任。藤田医科大学客員准教授。日本産科婦人科学会専門医。日本生殖医療学会専門医。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
1)保険診療の範囲内で検討できる方法としては、SEET法、子宮内膜スクラッチ法、二段階胚移植、胚盤胞2個移植などがあります。
年齢やこれまでに移植された胚のグレードなどを考慮すると、胚側の要因だけではなく、子宮内膜や免疫学的な要因などについても検討してよいと思います。もしまだ検査を受けていらっしゃらなければ、自費診療にはなりますが、Th1/Th2比やNK細胞活性などの免疫学的検査、CD138による慢性子宮内膜炎の検査、ネオセルフ抗体検査などを行い、その結果も踏まえて次回の移植方法を検討することも選択肢です。
2)SEET法は、良好な胚を移植しても妊娠に至らなかった方などで検討される方法です。胚を培養した際の培養液を胚移植の数日前に子宮内へ注入し、胚と子宮内膜の相互作用を促すことで、着床しやすい環境を整えることを目的としています。
処置による大きな負担や合併症は少ないため、これまでの移植経過を考えますと検討されてよいと思います。ただし、妊娠率を改善する効果については、現時点では十分に確立はされていません。
3)子宮内膜スクラッチ法は、胚移植を行う前の周期などに子宮内膜へ軽い刺激を加え、その後の修復過程を利用して着床しやすい環境を整えることを目的とした方法です。
処置に伴う痛みや、処置後に少量の出血がみられることがあり、まれに感染を起こす可能性もあります。大きな合併症は少ない処置ですので、検討されてよいと思います。
4)最近では、PRP(多血小板血漿)を子宮内へ投与することにより、反復着床不全の方の妊娠率や着床率が改善したとする報告もあります。
一方で、現時点では有効性について十分なエビデンスが確立された治療ではありません。また、移植周期に実施する場合には、原則としてその周期の診療も含めて自費診療となります。そのため、これまでの治療経過や他の検査結果などを踏まえたうえで、治療の選択肢の一つとして検討されるのがよいと思います。