卵胞数に比べてE₂が低く、卵子が少ない原因は?

相談者 :ななさん(30歳)
▶︎卵胞は育つのにE2が伸び悩んでいます
チョコレート嚢胞があり、タイミング療法数回、人工授精2回を経て体外受精へ進み、これまで2回採卵しました。直近の採卵では15~20mmの卵胞が5~6個あったものの、採卵3日前のE2(エストラジオール)は1100pg/mlと低めでした。また、6個の卵胞から採卵を試みましたが、採取できた卵子は3個で、正常受精(2PN)は1個でした。卵胞数に比べてE2が低かったことや、採れた卵子が少なかったことには、どのような原因が考えられますか。
【医師監修】佐久平エンゼルクリニック 政井哲兵 先生
鹿児島大学医学部卒業。東京都立府中病院(現東京都立多摩総合医療センター)、日本赤十字社医療センター、高崎ARTクリニックを経て、2014年佐久平エンゼルクリニックを開業、2016年医療法人佐久平リプロダクションセンターを設立。

卵胞が順調に育っているように見えても、E²があまり上がらないのはなぜでしょうか?

政井先生●超音波検査で見える卵胞の大きさは、あくまで「袋」の大きさです。中の卵子の成熟度や、E²を産生する細胞の働きとは必ずしも一致しません。チョコレート嚢胞があると、卵巣の慢性的な炎症や酸化ストレスの影響で、卵胞が大きく見えてもE²の上昇が鈍くなることがあります。
また、成熟した卵胞1個あたりから分泌されるE²は約200pg/mlですが、刺激方法や薬剤、卵巣の反応によって個人差があります。今回の調節卵巣刺激の方法や、採卵前に排卵をうながす注射のタイミングが適切だったかも確認する必要があると思います。

E²の値が低いことは、採卵数や、穿刺数に対して実際に採れる卵子の数に影響しますか?

政井先生●はい、関係している可能性があります。E²は卵胞の成熟度を示す指標の一つで、値が低い場合、超音波上は大きく見えても卵子の成熟が不十分だったり、卵胞の中に卵子が入っていない「空胞」が増えたりすることがあります。今回、6回穿刺して3個しか採取できなかったとのことですが、チョコレート嚢胞による卵巣の癒着や、卵胞の成熟不足が影響した可能性があります。実際に採れた卵子のうち、正常受精(2PN)が1個、0PNが1個、未受精が1個という結果からも、卵子の質にばらつきがあったことが考えられます。

次の採卵周期に向けて、改善できることはありますか。

政井先生●まず、これまでの刺激方法や薬剤の反応を詳しく確認したうえで、E²の上がり方に合わせて薬剤の種類や量を調整することが第一歩になります。たとえば、卵巣刺激に使う薬剤や、排卵をうながす注射(トリガー)の方法を変更することで、卵子の成熟が改善するケースもあります。
チョコレート嚢胞も状態によっては手術が選択肢になりますが、AMH値が1.68ng/mlとやや低めですので、手術によって卵巣予備能がさらに低下するリスクとのバランスを慎重に見極める必要があります。
ななさんは保険診療を希望されているとのことですので、まずは刺激方法の見直しなど保険診療でできる工夫を行い、それでも改善しない場合は、先進医療やチョコレート嚢胞の手術について専門医と相談するとよいでしょう。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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