らいちさん(28歳)
①現在タイミング療法が3回終了し、今期で4回目のタイミング療法になります。来月からは人工授精へのステップアップも検討しておりますが、精液検査が異常なかったのと、タイミング療法と人工授精ではそこまで妊娠確率が変わらないと聞いたため、ステップアップするか迷っております。人工授精にステップアップした方が良いか、また体外受精へのステップアップの目安もご助言いただけたらと思います。
②エコーでポリープが見つかったものの、着床できるスペースは充分にあり、排卵日近くだったため様子見でした。生理2日目に詳しい検査をした際はポリープが見つからず、治療にもつながりませんでした。生理2日目だと見えづらいことがある、ポリープは中々無くならないという情報を見つけ、このままで良いのか迷っています(排卵日近くに診察した医師と生理2日目に診察した医師は異なる医師であったことも気がかりです)。もう一度検査をしてもらうべきでしょうか?
宇津宮先生に、お話しを聞いてきました。

まず、らいちさんはAMHが5.33と高く、多嚢胞性卵巣症候群PCOSの初期と思います。年齢が若いのでまだ月経不順など著明ではありませんが、家族に糖尿病予備軍の方がいればPCOSの可能性が強く考えられます。PCOSでは内膜ポリープができやすく、過多月経もそのためかと思います。ポリープは、無くなることはなく、通水超音波法で綺麗に見えるはずです。また、ポリープがあれば超音波エコーでは見えないマイクロポリープがある可能性が高く、子宮内膜炎が合併していますので、着床できません。よって早く診断し、子宮鏡手術を考えましょう。
精液検査で奇形率8%は測定法が古いと思います。昔の測定方法です。今はWHO基準で奇形率96%までは正常です。正常精子は4%以上あればよい、となっています。ただし、測定方法はStrict Criteria (厳密測定法)で行います。

タイミング法は長くとも6回まででステップアップしましょう。通常、6回までで80%は妊娠します。すべて正常なら1回の排卵で自然妊娠率は18%から35%と言われています。それがタイミング法の参考値です。ところが人工授精は(もともと精子が少ない、ヒューナーテストが悪い時に行いますが)妊娠率8%です。これはどこの報告でも同じです。よってらいちさんの場合はヒューナーテストが悪ければ3-4回は試してみてよいかと思います。
しかし、当院では人工授精の妊娠率は低いので次は腹腔鏡検査をお勧めしています。すると子宮内膜症が70-80%見つかります。内膜症をその場で治療し、3-4回タイミング療法をします。すると3-4ヵ月後までに6割が妊娠できます。
らいちさんはタイミング法7回ですので、腹腔鏡をしなければ次は体外受精かと思います。体外受精は通常妊娠率(胚移植当たり)30-40%です。凍結できたらそれを移植しますし、妊娠率50-60%です。
要するに、不妊症治療は一つの方法に長くとも半年以上かけることは無駄ですし、早ければ3-4ヵ月ごとにステップアップ(特に35歳以上、AMHが1以下、精子所見が良くない・・・など)すべきです。
らいちさんはまだまだ余裕がありそうですが、きちんとした検査、治療を受けましょう。