【Q&A】保険治療が残っていてもPGT-Aを選ぶべき?~福田雄介先生【医師監修】

あやめさん (39歳)

第二子治療の今後の進め方についてアドバイスをいただきたいです。
第二子治療としてはこれまでに4回移植しましたが、陰性2回(4AA、6日目4BB)、6週稽留流産(4BB)、9週稽留流産(4AA)という結果でした。
先日流産手術を受け、現在は赤ちゃんの染色体検査結果待ち、保険にて不育症検査予定です。これまで子宮鏡検査等では特に不妊の原因となるものは指摘されていません。

今後の治療の進め方について、次の3パターンのどれにするか悩んでいます。
①これまで通り保険治療にて採卵、移植をする
②保険治療にて胚盤胞2個戻しをする
③自費にてPGT-Aを行い正常胚を移植する

私としては、2度の流産が精神的にはもちろん、時間的にも治療が進まない期間ができてしまい辛かったため、今後はPGT-A正常胚を獲得するまで採卵を繰り返し、移植をするのが出産までの近道なのではと思っています。
しかし、主治医にその旨相談したところ「保険診療が残っている人でPGT-Aをする人はほぼいない。PGT-Aにはリスクもあるし、妊娠までの近道とは言えず、費用対効果が低い。一方で、次は2個移植の対象となるから、保険診療で2個移植するのはOK」と言われました。

【質問1】
流産、死産の確率を減らしたいからと自費診療PGT-Aに踏み切るのは、保険治療があと2回残っている状態では勿体無いでしょうか。先生でしたら①~③のどれをお勧めされますか。

【質問2】
胚盤胞2個移植する場合、多胎のリスクがあると思います。仮に双子となり、どちらかに染色体異常などがあった場合、もう片方の子の流産のリスクは上がらないでしょうか。また、双子の場合は出生前診断は受けられますか。陽性となった場合どうなるのでしょうか。

福田ウイメンズクリニックの福田先生に聞いてみました。

【医師監修】福田ウイメンズクリニック 福田 雄介 先生
東邦大学医学部卒業、東邦大学医学部大学院修了。医学博士(東邦大学 平成22年)。米国ペンシルベニア大学生物学教室留学、東邦大学医学部産婦人科学教室講師などを経て福田ウイメンズクリニック副院長に就任。日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医・指導医。日本生殖医学会認定生殖医療専門医。日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

●あやめさんの流産の経験を踏まえ、治療方法としてどの選択肢を推奨されますか?

染色体検査結果が出て流産の原因であるならば、③の自費にてPGT-Aを行い正常胚を移植するのが良いと思います。染色体検査結果が出て流産の原因でないのであるならば、原因は他になるので不育症の検査を進めて、原因治療を行なってからの移植を勧めます。その場合は保険にするか、PGT-Aを行うかは改めて相談された方が良いと思います。
●②の2個移植を選択した場合、双子の妊娠リスクについてはどの程度考慮すべきでしょうか?また、双子の一方が染色体異常を持っていた場 合、もう一方の胎児に影響はありますか?

今までの移植経過から考えると双子になるリスクは高くはないですが、起こり得る可能性はあります。
双子を妊娠した場合のリスクは一般的に早産のリスクや母体の合併症のリスクが上がるとされます。自然妊娠でも双子になることもあるので、リスクを許容できるのなら2個移植も選択肢となりますが、双子の妊娠は避けたいという考えならリスクを最大限に考慮し2個移植は勧めません。2個移植での双子は2絨毛膜2羊膜双胎といい、胎嚢(赤ちゃんが入る部屋)がそれぞれ別なので、お互い影響されないと考えられます。●双子妊娠時に出生前診断は可能でしょうか?もし可能であれば、その結果が陽性だった場合、どのような対応が考えられますか?

出生前診断は可能です。出生前診断の結果でどうするかは検査を受ける前にしっかりと遺伝カウンセリングを受けて夫婦で相談することを勧めます。

 

●保険治療が2回残っている状態でPGT-Aを選択することについて、その費用対効果についてはどのように評価されますか?また、その際のリスクについても詳しく教えていただけますか?

染色体検査結果が出て流産の原因であるならばPGT-Aを選択することで流産、死産の確率を減らせるので十分評価されると思います。
主治医の先生のリスクがどういったものかはわかりませんが、一般的に自費であるので費用もそうですが、PGT-Aは万能ではないということを理解して行う必要があります。PGT-Aをする前にしっかりとカウンセリングを受けることを勧めます。

●あやめさんが不育症である可能性についてはどの程度考慮すべきでしょうか?また、これからの不育症検査の結果が出た場合、その結果をどのように治療選択に反映させるべきでしょうか?

4回移植を行い、陰性2回、流産2回を経験されているので検査をするべきと考えます。不育症の原因にもよりますが、原因に対して治療をしていくこととなります。染色体検査結果が出て流産の原因でない場合は、PGT-Aより不育症の治療を優先するべきでしょう。

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