【Q&A】人工授精から体外受精へ、ステップアップのタイミング~佐柄 祐介先生【医師監修】

Yochiさん(35歳)

今回2回目の人工授精がリセットになったのですが、病院で体外受精にステップアップするか聞かれました。今月には35歳になるので、人工授精が上手くいかなかったら体外受精も考えているのですが、やはり早めにステップアップした方がいいのでしょうか?
それともあと数回は人工授精をしたほうがいいのでしょうか?
とりあえず今回は人工授精にしたのですが、今回もリセットしたら体外受精にしたほうがいいでしょうか?

湘南茅ヶ崎ARTレディースクリニックの佐柄祐介先生にお話を伺いました。

【医師監修】湘南茅ヶ崎ARTレディースクリニック 院長 佐柄 祐介 先生
東海大学医学部卒業後、東海大学医学部付属病院、新百合ヶ丘総合病院などを経て2023年4月に地元の茅ヶ崎にて湘南茅ヶ崎ARTレディースクリニックを開院。「すべての女性があなたらしく生きるために」というコンセプトのもとに、患者さんの訴えに耳を傾け、ひとりひとりに寄り添った診療を行っている。日本産科婦人科学会 専門医。日本生殖医学会 生殖医療専門医。日本産科婦人科内視鏡学会認定 内視鏡技術認定医(腹腔鏡)。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

ご存知かと思われますが、一般的に人工授精の妊娠率は概ね5〜10%程度と言われています。人工授精での妊娠は5〜6回目までが最も多く、おおよそ妊娠された方の80%が3回まで、90%が5〜6回までに妊娠されています。7〜8回以降の成功率は上がらず横ばいになる傾向があり、6回以上の施行を勧めることはあまりありません。一般的には高齢な方、AMHが低い人などを除いて、体外受精へのステップアップを検討するのは6回目のタイミングではないでしょうか。

<人工授精のメリット>
・身体的・経済的負担が少ない:通院回数も比較的少なく、費用もIVF(体外受精)より低いです。
・自然なかたちでの妊娠:排卵誘発などを併用しても、自然妊娠であることに間違いはありません。
・手技が簡便でリスクが低い:麻酔も不要で、侵襲性が少ないです。

<体外受精のメリット>
・妊娠率が高い:明らかにAIH(人工授精)より妊娠率が高く、高齢になる程その差が顕著になります。
・受精や受精卵の状態を直接確認できる:タイムラプスなどにより受精障害や胚の質の評価も可能です。
・様々な不妊要因に対応できる:卵管閉塞、重度の男性不妊、受精障害、抗精子抗体など。
・受精や着床に関する先進医療が使用できる:先進医療を組み合わせることで、さらに成功率向上が期待されます。
・余剰胚の凍結保存が可能:余剰胚があれば、第2子や第3子のプランニングも可能です。

上記のごとく、人工授精と体外受精のメリット・デメリットは、ほぼ表裏の関係です。
Yochiさんの場合ですと、1〜2年という治療年数や35歳という年齢から鑑みて、複数回AIH行っても妊娠しない場合はステップアップしてもいいと思います。

ステップアップにあたり注意すべきライフスタイルの変更点や必要な検査>
ステップアップしてもしなくても、やや体重が気になるところ(BMI:28程度でしょうか?)なので、減量を考慮したほうがいいでしょう。
また不妊治療をされている方にとってAMHの値は最重要値と言っても過言ではありません。その値で方針が変わるため、不妊専門の病院であれば採取しているはずですので、検査結果を担当医に確認してみてください。AMHの値が治療方針をたてる判断材料のひとつになります。
そうやって一つ一つ自身の体を知り、見直すことはかなり大事なことです。
あなたの願いが、最善の形で叶うよう応援しています。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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