【Q&A】新鮮胚移植を進められるのはなぜ?~藤野 祐司先生【医師監修】

てらさん (42歳)

これまで胚盤胞移植5回、グレードのよいものもありましたが全て着床しませんでした。

着床の窓のズレはなく、子宮内フローラ検査も問題ありませんでしたが、2年ほど前の子宮鏡検査では内膜の炎症があり、抗生剤を1週間処方されたことがあります。その後、炎症がなくなっているかの再検査はしていません。

保険適用最後になるので少しでも着床を妨げる要因を減らしたくて、今回、私からお願いして子宮鏡検査をしてもらうことになりました。ALICE検査もお願いしたかったのですが「必要ない」と言われ、してもらえません。移植しても着床しないのは、子宮ではなく胚の染色体異常だから検査は必要ない、というのが先生の意見でした。
子宮内膜スクラッチもお願いしたのですが、それほど効果はないとの理由でしてもらえませんでした。本当に検査をせずに移植を繰り返して無駄にならないのでしょうか?するべき検査はないのでしょうか?

また、今までは全て凍結胚盤胞移植でしたが、今回初めて新鮮初期胚移植をすると言われました。「急いだほうがいいから治療期間をコンパクトにするため」と説明されましたが、いまいち理解できません。
一般的に新鮮胚移植よりも凍結胚移植のほうが妊娠率が高いようなので、本当にこれでいいのか心配です。私のような患者の場合、本当に新鮮初期胚移植のほうがいいのでしょうか?

藤野 先生に聞いてみました。

【医師監修】ウィメンズクリニック本町  藤野 祐司 先生
大阪市立大学医学部卒業。藤野婦人科クリニックの院長を務めた後、平成28年にウィメンズクリニック本町を開院。
ご夫婦・ご家族の“夢”の実現に向かって、希望を叶えられるよう、患者さんの状況に合わせた診療を提供することを大切にしている。
日本産婦人科学会専門医、生殖医療専門医。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

●子宮内膜症の検査の意義について

子宮鏡検査による慢性子宮内膜炎の検査に関しては“ご希望”というのであれば実施されても良いかもしれません。臨床的意義に関しては不明です。

●今までの移植が全て着床していないのは、胚の染色体異常が原因と考えられますか?その場合は、PGT-Aなどの遺伝的検査を行うことは有用でしょうか?

流産歴、年齢などを考慮するとPGT-Aは役に立つ検査だと思います。しかしながら、PGT-Aは受精卵検査の後、胚盤胞培養・凍結が必須となり、検査には保険適用が無いため経済的負担が大きいのが難点です。

●てらさんがALICE検査を希望しているにも関わらず、それが必要でないとの判断が下されたのはどのような理由が考えられますか?

実施に関しては子宮鏡検査と同じくらいの意義かと思います。即ち、“ご希望”というのであれば実施されても良いかもしれません。また、ご質問のスクラッチ法は比較的簡単にできる方法なので、チャレンジしてみる価値はあると思います。

●新鮮初期胚移植によって「治療期間をコンパクトにする」との説明がありましたが、それによって何が改善され、どのようなメリットが期待できるのでしょうか?

「治療期間をコンパクトにする」と言うことですが、以前、人工授精で妊娠されているという経緯があるので提示・選択されたのかもしれませんね?しかしながら実施にあたっては、ご夫婦が、十分、理解・納得された上で臨むべきであると思います。

 

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