胚盤胞と卵子について質問があります。9月の採卵で卵子が4個採れ、成熟卵が1個、未熟卵が3個。
精子は、調整後精液量0.5、運動精子濃度8.4、精子濃度8.4、運動率100.0%、ZyMot処理をしました。
凍結結果は、4日目5AB (2前核)が1つでした。●一つ目の質問です。
4日目胚盤胞はあまり聞かないので、不安に思っています。成長が早すぎるのも良くない受精卵なのでしょうか。
形は少し先が出ているくらいの拡張状態で凍結されています。
●二つ目の質問です。
今回、D15で採卵をしました。D12でE2が1999ありましたが、成熟卵は1個で成熟卵の少なさに驚きました。未熟卵3個は全て初期の状態でほとんど成長していませんでした。
「刺激を延長しても、成長することはなかっただろう。成熟障害があるかもしれない」とのことです。
このような場合、どうすれば成熟卵を増やすことができますか?
浅田先生に聞いてきました。

名古屋大学医学部卒業。1993 年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。現在、愛知県の名古屋駅前、勝川、東京・品川にクリニックを開院。著書に『不妊治療を考えたら読む本』(講談社)など多数。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
28歳でAMH値が0.53ng/mlですから、早発閉経予備軍だと思います。
4日目胚盤胞について不安に思われているようですが、胚盤胞の成長速度は中の遺伝子の組合せが良く、発育がどんどん進んでいくという意味では悪くないと思います。卵子の性質として、卵子は女の子が生まれる前に一度だけ作られ、その後は二度と作られることがない細胞ですので、りんかさんの場合は28年間、卵巣で保管されていた卵子を使用していることになります。
28年間卵巣で保管されていた卵子は、6ヶ月前から成長をはじめますが、その6ヶ月間で長い間眠りについていた卵子の遺伝子が再稼働をして徐々に成熟させています。そのため卵巣刺激をして、どの段階で成熟した卵子を採るかが一番重要になりますが、それは医師の技術、クリニックの技術により大きく違ってきます。更に、受精操作等の人為的な技術でも変わってきます。多くは技術的要因と捉えていただいたほうが良いでしょう。
また「成熟障害があるかもしれない」いうことですが、成熟卵は採れていますので、成熟障害ではなく、卵巣刺激が上手くいっていないのではないかと思います。
成熟卵を増やすためには卵巣刺激が大切で、卵巣刺激は医師の力量、クリニックの力量・実力そのものだと、私は考えています。
“次回の採卵に向けて何か特別な対策や注意点があるか”ということですが、治療が上手くいかないと感じられているなら、先に言った通り卵巣刺激の技術、培養技術、受精技術はクリニックにより異なりますので、卵の本質をよく理解されていて、それを実践して成熟率の良い成熟卵をきちんと採れるクリニックで治療をされることをおすすめします。