たんぱく質と妊活の関係 詳しく教えて

妊活をする際、食事に気をつけることはとても大切です。
そこでたんぱく質や糖質などどんな栄養を摂ったらいいか、食べ方の注意点などを佐藤病院の院長、佐藤雄一先生に教えていただきました。

産科婦人科 舘出張 佐藤病院 佐藤 雄一 先生 医学博士・産婦人科専門医・日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医・日本生殖医学会生殖医療専門医。2018年、体づくりができるフィーカレディースクリニック(東京・日本橋)を開院。高崎ARTクリニックを含む佐藤病院グループの代表。専門分野だけでなく、栄養学や抗加齢医学などの知識も深く、患者さんにも積極的に生活習慣の改善を指導。

これを食べたら妊娠する!という食材はない

妊活をするにあたりぜひ見直してほしいものの1つが食事です。食事に気をつけることで、赤ちゃんを迎え入れやすい体に整えることができます。さらに妊娠したら赤ちゃんに栄養を送ったり、出産や育児に備える体をつくるためにも妊活中から食事を見直すことはとても重要です。

残念ながら「これを食べたら妊娠する!」という食材やメニューはありません。妊活中はいろいろな栄養をバランスよく摂ることが何よりも大切。まずは1日3食をきちんと食べるのが基本です。なかには「朝は忙しいから」「体型が気になるから」と、朝食を抜いている人もいるかもしれません。そうすると必要なエネルギーや栄養が足りない状態になり、代謝が落ちてさまざまな体調不良を引き起こす場合もあります。また、同じものばかり食べていると、決まった栄養素しか摂れないので、まんべんなくいろいろな食材を食べるようにするといいでしょう。

糖質は摂りすぎも少なすぎもNG

昨今、よく耳にするのが糖質についての疑問です。もしかすると妊活と糖質の関係が気になっている人や、体型や体重を気にしてご飯やパスタなどの主食の量を減らす「糖質制限ダイエット」をしている人もいるかもしれません。

糖質は生きていくためのエネルギー源となる大事なものです。しかし、過剰に摂取すると、体内に脂肪として蓄えられるため、肥満の原因に。また、空腹時にたくさん糖質を摂ると急激に血糖値が上がってインスリンが過剰分泌されるため、糖尿病になるリスクも高まります。さらに血糖値が急激に上がることで自律神経に負荷がかかり、精神的に不安定になる場合もあります。

糖質を摂取する際は種類に注意してみてください。たとえば小麦粉が原料のパスタやうどんよりご飯のほうが血糖値の上昇を緩やかにすることができます。また、同じご飯でも精製米より玄米のほうがベター。小麦粉もビタミンやミネラルが入った全粒粉のものを選ぶといいでしょう。

食べる順番もポイント。野菜や海藻など食物繊維が豊富なものや、脂質やたんぱく質が多い食品を先に食べ、最後にご飯などの炭水化物を食べると血糖値の急上昇が抑えられます。

細胞をつくるたんぱく質は妊活を支える大切な栄養

妊活中は「バランスのよい食事が大切」と言いましたが、その中でもたんぱく質を中心に鉄分、亜鉛、ビタミンD、ビタミンB群、葉酸を積極的に摂るように心がけましょう。

たんぱく質はホルモンをつくったり、細胞や脳内伝達物質の元となる極めて重要な栄養です。たんぱく質がきちんと摂れていると体と精神が安定してくるので、妊活をするうえでもよい影響を与えてくれる栄養素といえるでしょう。主菜となる肉、魚、大豆、卵に多く含まれています。ただ、たんぱく質は摂りだめができないので、コンスタントに食べ続ける必要があります。現代の女性はトータルの栄養が足りていないため、たんぱく質も十分に摂れていない人が多い傾向にあります。

たんぱく質をどのくらい食べればいいのかですが、食材によって吸収率が違ったり、調理法によってたんぱく質の量が変わるため、どのくらいで十分なのかは一概に言えません。ただ、目安として毎食手のひら1つ分の肉や魚や豆腐などたんぱく質が含まれている食材を摂るように気をつけてください。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020 年度)」によると、食事は、炭水化物6、たんぱく質2、脂質2のバランスで摂取するのが基本といわれています。ただご自身で「炭水化物が多めだな」と感じている場合は、炭水化物の量を少し減らし、その分、たんぱく質を含む食材で補うといいでしょう。空腹感を抑えられ、糖質の過剰摂取を防ぐ可能性があると考えています。

栄養は基本的に食事からプロテインなどは補助的に

妊活をするうえで欠かせないたんぱく質をはじめ、栄養は基本、食事から摂るように心がけましょう。また、いろいろな食材を使ったメニューにすることで、自然とバランスよく栄養を摂ることができます。たとえば同じたんぱく質でも肉、魚、大豆、卵とさまざまな食材から摂るようにしてください。

栄養が摂れていない場合は、プロテインやサプリなどで補うという方法もあります。空腹時にお菓子やジャンクフードを食べる代わりに、栄養素を含む補助食品に置き換えるといいかもしれません。二分脊椎という胎児のトラブルを防ぐなどさまざまな役割を果たす葉酸は、食事だけでは十分に摂れません。妊活中から食事と一緒にサプリを活用するのがいいでしょう。最近では、葉酸とたんぱく質が一緒に摂れるプロテインもあるようです。

今までの食生活を見直し、たんぱく質をはじめとした必要な栄養をしっかり摂り、妊娠しやすい体、授かった後の体づくりにつなげてくださいね。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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