【Q&A】顕微授精の結果について~稲垣先生【医師監修】

つばきさん(31歳)
今月10日に採卵をしました。
PPOS法で、42個卵がとれ、成熟卵が29個。すべてに顕微授精を行い、23個受精しました。
ちなみに精液所見は、朝自宅で採ったものは運動率0%、院内で採ったものは運動率25%、運動精子数460万でした。
もともと精索静脈瘤があり、精液所見は悪く、手術もしましたが目立った改善していません。
結果として5つの胚盤胞(5日目3BB,4AB,3BB 6日目4AA,4BB)を凍結しました。
通っているクリニックではCがつくと廃棄なので、実際胚盤胞になったものは10数個ありました。
これだけ卵がとれて5つの胚盤胞ができるというのは、結果としては妥当なのでしょうか。
それとももっと合う方法がありそうだと思いますか。

【医師監修】いながきレディースクリニック 稲垣 誠 先生 
1994 年、浜松医科大学医学部卒業。浜松医科大学医学部附属病院、鹿児島市立病院、聖隷沼津病院などで産婦人科医の経験を重ね、2012 年、不妊治療専門施設「いながきレディースクリニック」を開院。「お一人ひとりに寄り添いながら、それぞれの患者さまに合った最適な治療を心がけています」

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
●年齢や採卵数から見て、10数個の胚盤胞と5個の凍結胚盤胞という数は妥当といえますか
一般的に胚盤胞移行率は60%程度とされていますので、おおむね妥当だと思います。
採卵までの治療内容や、インターバルの期間、そもそもの卵巣のコンディションなど、その周期における採卵数を左右する要素は多数あります。
したがって別の機会では採卵数だけでなく体外受精の成績も大幅に変わってくる可能性があるといえます。
●つばきさんの主治医の方針ではC判定は破棄とのことですが、先生のクリニックでは胚盤胞を凍結する際にグレードの基準はありますか? 
当院の胚盤胞の凍結基準は採卵後5または6日目においてステージ4以上かつ、内胚葉、外胚葉の評価で少なくとも一方がB以上のものとしています。
ちなみに保険適応前は4CC以上で凍結していました。
これは、体外受精の保険適応により治療が「胚移植」の回数によって上限が設定されたことが大きく関係しています。
採卵回数については(ある意味)制限がないのであれば良好胚が獲得できるまで採卵しましょう、ということになるからです。
●PPOS法で採卵していますが、つばきさんにはもっと合う方法があると思われますか? 
クロミッド法やアンタゴニスト法等も検討できますが、クロミッド法の場合は下垂体機能不全の方には無効なので精査の上で検討すべきだと思います。
また、確かにご相談の周期では採卵数が多いので刺激量(hMGやr-FSHなど)を減量してみてもいいかもしれません。
ただし、保険適応の関係から難しい可能性もあります。
症状を詳記すれば可能だと思いますが、主治医の判断となると思います。
●精索静脈瘤の手術後も目立った改善はしていないそうです。精液所見を改善するためにできることはありますか?
手術をされて改善がないとなるとなかなか難しいと思われます。
サプリメント(コエンザイムQ10や亜鉛など)や漢方(補中益気湯、牛車腎気丸等)等でしょうが、効果は限定的だと思います。
執刀医など主治医に相談するのがよろしいかと思います。
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