妊娠しやすい日

多囊胞性卵巣症候群でタイミングを取る際いつが妊娠しやすい?

相談者 : おむれつさん(26歳)
結婚1年目。多囊胞性卵巣症候群と排卵障害があるため月経周期は不規則です。夫の精液検査は問題なし。現在、レトロゾールで排卵誘発をし、タイミング法を行っています。この治療を続けて半年が経ったところです。夫も私もタイミングを取るのは1日おきが限界ということもあり、タイミングを取る日をいつも悩んでいます。なぜ一般的に排卵日の当日よりも2日前のほうが、妊娠率が高いといわれているのでしょうか。また、2日前と前日ではどのくらい妊娠率が違いますか。
福田ウイメンズクリニック 福田 雄介 先生
東邦大学医学部卒業、東邦大学医学部大学院修了。医学博士(東邦大学 平成22年)。米国ペンシルベニア大学生物学教室留学、東邦大学医学部産婦人科学教室講師などを経て福田ウイメンズクリニック副院長に就任。日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医・指導医。日本生殖医学会認定生殖医療専門医。日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医。
タイミングを取るのは排卵日当日より2日前のほうがいいのでしょうか?
福田先生●排卵日当日よりも排卵日2日前にタイミングを取るほうが妊娠率は高いといわれています。その根拠は精子と卵子の寿命の違いにあります。
 卵子は、通常排卵されるのは1個。寿命は排卵後8~12時間、長くても24時間と考えられています。寿命が尽きる前に精子と卵子は出会って受精しないと生きていけません。一方、精子は1回の射精で約1~2億個ほど射出。射出された精子は約2日生きているといわれ、なかには5日ほど生きているものもあります。そこから考えると、精子が当日ギリギリより排卵日の2日ぐらい前に女性の体内に入り、排卵されてくるのを待っているほうが受精しやすいということになるためです。排卵日当日だと排卵した後の可能性もあるので排卵日の2日前か1日前がいいといわれてます。
タイミングを取るのが1日前と2日前で妊娠率は変わりますか?
福田先生●海外の調査では、排卵日2日前と、排卵日1日前の妊娠率をみてみるとさほど変わりません。少しでも妊娠率を高めたいと考え、排卵2日前にタイミングをとることにこだわっている方もいるかもしれません。でも排卵前にタイミングが取れれば、がんじがらめにならなくて大丈夫です。
では排卵2日前と1日前、どちらもタイミングを取るのが理想ですか?
福田先生●自然にとれるならもちろんOK ですが、無理に両日とる必要はありません。おむれつさんご夫婦のように「1日おきが限界」という方もいらっしゃるでしょう。1日おきにタイミングをとるのは、精子のことを考えると良いペースです。毎日射精すると、常に新しい精子なので運動率は良くなりますが、濃度が低くなります。一方、長期間禁欲すると精子の濃度は高くなりますが、精子は古くなるので、普段から1週間に1回くらいは射出したほうがいいと思います。
今後の治療に向けてアドバイスを。
福田先生●一般的に排卵誘発剤を使ってタイミング法による治療をした場合、3周期までに6~7割の方が妊娠されます。それ以降は妊娠率も緩やかになるため、6周期すなわち半年続けて妊娠しない場合は、主治医に相談をして治療方法を見直してみるといいでしょう。多囊胞性卵巣症候群と排卵障害以外に、なんらかのトラブルが隠れていることもあります。また、AMH 検査をしていない場合は、一度受けておくといいでしょう。
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