【Q&A】未熟卵の対策と内視鏡手術について~川越先生【医師監修】

りんごさん(31歳)

ART(体外、顕微のスプリット)にて2回移植→一度目は化学流産、二度目は陰性でした。
採卵は4回。
1回目 低刺激で6個採卵、4BB一つだけ凍結
2回目 高刺激で21個採卵、4AB一つしか凍結出来ず
3回目 中刺激で18個採卵、15個未熟卵で一つも凍結出来ず
4回目(今回) 中刺激で採卵までの日も長く取り、ブセレリン点鼻薬3回とrhCG250単位のダブルトリガーにて、12個採卵、結果待ちです。
AMHが高いから、毎回採卵で取れる卵子の大きさも十分です」と言われるのに未熟卵が多いです。
夫の精子状態は良いのですが、いつも私の卵子が未成熟が多いです。
未熟卵が多いのはどうしようもないのでしょうか?
また、次の移植前に2回目の内視鏡を勧められています。
半年間のでは内視鏡は、意味があるのでしょうか?
二度目の移植後に内視鏡検査をして、軽度の内膜炎と小さなポリープが見つかりました。
どちらもそんなに問題のないので、抗生物質とラクトフェリン等を飲んで様子見ましょう、という軽い感じでした。
どうも必要性が分からず、悩んでいます。

川越先生に聞いてきました。

【医師監修】山形大手町ARTクリニック川越医院 川越 淳 先生

山形大学医学部医学科卒業。同大学院医学系研究科医学専攻修了。ベイラー医科大学分子細胞生物学分野にて研究。山形大学医学部産婦人科学教室にて助教、講師を経て、川越医院の院長に。大学院時代から一貫して、女性ホルモンの受容体を介した生体に与える影響について研究。アメリカ滞在中は、女性ホルモン受容体の作用を調節する因子の研究を行う。研究成果の1つは、基礎生命研究分野のトップジャーナルに報告。日本生殖医学会認定生殖医療専門医。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください

なかなか先の見えない治療、治療期間も長くなっており、期待通りに治療が進まないことは、本当に悩ましいですね。
未熟卵が多いため治療に難渋されていること、および、内視鏡手術について、私はいただいた情報から以下のように考えます。

●得られる卵子が未成熟であるとのこと

多嚢胞性卵巣症候群とよばれる病態がある場合、卵巣刺激で卵胞が多数発育するのに対し卵子の成熟が進まず、未熟卵が多数採卵される場合があります。
そういった場合、卵巣刺激法やトリガーを工夫してできるだけ成熟卵の採取を試みることになります。
成熟卵の獲得を目指して刺激を強く実施すると今度は卵巣過剰刺激症候群の重症化リスクが上がるため、卵巣刺激やトリガーの加減も重要です。
現在進行中の治療では、複数のトリガーを合わせて成熟を促す工夫を実施して成熟を促す治療が行われていると考えます。
少しでも成熟卵が得られればART治療で結果を出すことは可能で、実際に初回の治療で胚の着床までは進行したことを確認できているため、辛抱強く治療を続ける価値はあるものと考えます。
ただし、成熟卵の獲得ができない場合は、体外成熟培養(IVM)の実施が可能な施設の受診も検討されてください。

●内視鏡(子宮鏡)検査について
初回の検査で軽度の内膜炎が見つかり、抗生剤加療を受けられているため、治療効果確認の意味で内視鏡(子宮鏡)検査を実施する意義はあると考えます。
個人的には大事な胚を子宮内に戻すのにあたり、子宮内の状態をきちんと把握しておくことは大切だと思いますが、抗生剤加療で期待できる治療効果を主治医の先生に確認された上で、ご自身の気持ちに沿ってするしないを決めても良いかと思います。

いずれにしろ、りんごさんの状態を一番把握されているのは現在治療中の先生のため、あらためてよくご相談の上で方針を検討されてください。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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