【Q&A】ホルモン補充について~高橋敬一先生

りおさん(44歳)

非浸潤性乳管ガンで全摘の手術既往があります。乳頭は残しています。乳腺外科の医師からはエストロゲン感受性があるためホルモン補充はしないでくださいと言われました。すでに貯卵をしています。現在子宮鏡にてポリープがみつかり、ジュリナの内服を中止しています。今後、ポリープ切除後、移植にあたり、ホルモン補充しないでもできるものなのか、補充しても良いのでしょうか。

高橋敬一先生にお伺いしました。

高橋ウイメンズクリニック 高橋 敬一 先生
金沢大学医学部卒業。国立病院医療センター(現・国立国際医療研究センター)、虎の門病院を経て米国ワシントン大学に留学。1996年虎の門病院に復帰した後、1999年千葉市に不妊治療専門『高橋ウイメンズクリニック』を開院。2014年ベストドクター認定(ベストドクターズ社)。
2022年10月に開院から累計で妊娠2万例を達成する。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください 
乳管ガンの既往があり、不妊治療の対応にお困りなのですね。
子宮内膜ポリープ術後の胚移植には、手術時の子宮内膜の削った範囲にもよりますが、当クリニックでは2回目以降の周期に胚移植をおこなっています。
ご不安の時には、念のために胚移植前に子宮鏡で子宮内膜の回復の状態を確認しては如何でしょうか。
さて、ホルモン補充をしないで胚移植するには、自然周期での胚移植になります。
ただし、自然周期でも排卵後などにホルモン補充をおこなった方が良いと判断しております。
もしどうしてもホルモン補充を避ける目的ならば、乳がん治療薬のレトロゾールを排卵誘発剤として使用すれば、エストラジオールの上昇を抑えつつ治療できると思いますよ。
ただし、そもそもホルモン補充を避ける必要があるかどうかは考える必要があります。
妊娠すると、ホルモン補充よりも数倍の女性ホルモンの上昇期間が10ヶ月続くことになります。
したがって、妊娠すること自体が乳がんへのもっとも影響が強いことになるのです。
妊娠する前の胚移植の時期の2~3週間のさほど多くないホルモン補充の期間はほとんど誤差範囲とも言えるのです。
したがって妊娠する事を前提に治療をしているならば、ホルモン補充周期のホルモンの使用の有無を気にするよりも、早期に妊娠/出産する方がむしろ良いのかもしれません。
その上でホルモン補充を避けるかどうかを考えては如何でしょうか
>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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