【Q&A】排卵障害の治療法~佐藤幸保先生【医師監修】

おむれつさん(25歳)

レトロゾールやクロミッドの処方についておうかかいしたいことがありご連絡させていただきました。現在、不妊治療クリニックに通い始めて三ヶ月目です。卵が大きくならず、最初、レトロゾール一錠を処方していただき、効果がありました。しかしその後、一錠では効かず、二錠に増やしていただいたにも関わらず、レトロゾールが効かなくなってしまいました。そしてクロミッドに切り替え一錠飲んだところ、効きすぎて大きな卵がたくさんできてしまい、一度リセットすることになってしまいました。担当の先生は、もう一度レトロゾールに戻すのが最適とお考えのようですが、もしレトロゾールが効かなければまた二の足を踏むことになります。もう一度クロミッドを処方していただいたり、あるいは注射に切り替えたりする治療法はないのでしょうか?とても悩んでいて、不安な毎日です。

ハシイ産婦人科の佐藤幸保先生に伺いました。

【医師監修】ハシイ産婦人科 佐藤幸保先生 京都大学医学部附属病院および高松赤十字病院で体外受精など生殖医療を担当。患者さんそれぞれのニーズに応じて、個別化した不妊診療を提供することをモットーにしている。
資格:産婦人科専門医、生殖医療専門医、周産期専門医・臨床遺伝専門医
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
おそらく多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)による排卵障害だと推測します。1回目レトロゾール1日1錠で排卵、2回目レトロゾール1日1錠で卵胞発育なし、3回目レトロゾール1日2錠で卵胞発育なし、4回目クロミッド1日1錠で卵胞発育過剰のためキャンセル、という理解でいいでしょうか。
 クロミッドでの発育卵胞数は何個だったのでしょうか。当院では、3個なら原則キャンセルはしません。品胎リスクが若干ありますので、そのことを患者さんにご了解いただいた上で排卵を試みます。4個以上の場合は、当院でもキャンセルとします。
 4個以上の卵胞発育でキャンセルとなっていた場合には、レトロゾールにもどるか、あるいは低用量FSG漸増療法を行うか、だと思います。低用量FSG漸増療法では2週間程度の連日注射が必要となり、身体的・経済的負担が大きいので、主治医の先生のご意見通り、レトロゾールのもどすのが最適かと思います。
 レトロゾールの再チャレンジにあたっては、以下の私の経験を参考にしてみてください。
①レトロゾールの効果は月経周期20-30日目以降にゆっくりと発揮されることがあるので、卵胞発育を気長に待ってみることも大切である。
②血中男性ホルモン値が高い場合には、プレドニンというステロイド剤を併用すると効果がみられることがある。
③前周期にプラノバールなどのピルを投与して人工的な月経をおこすと、その周期のレトロゾール反応性が高まることがある。
④空腹時に血糖値と血中インスリン値を測定することで、インスリン抵抗性をみることができる。インスリン抵抗性ありと判定された場合には、メトホルモンという糖尿病治療薬を併用することでレトロゾールの反応性が高まることがある。
 まだまだいろいろと試す方法はあります。あきらめず治療に臨んでください。
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