重度のPCOSで卵胞育たず。
早めに体外受精に挑戦したほうがいい?
重度のPCOSで、10周期中4回しか排卵していないそうです。
臼井先生●一般的な30代のAMHの平均値4程度に対し、みみさんは24ng/mlとかなり高いので、診断通り重度のPCOSといえるでしょう。また、男性ホルモンの数値の比率も診断基準となり、FSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体形成ホルモン)の数値を比べると、おそらくLH値のほうが高いと思われます。10周期中4回しか排卵していないので、治療としてはきちんと排卵をうながすために排卵誘発の方法を考えなければなりません。クロミッドRにHMG製剤を少々プラスする方法や、LHが入っていないリコンビナントFSH製剤のゴナールエフR、レトロゾール処方などが選択肢となります。
治療を行ううえでの注意点や治療の進め方について教えてください。
臼井先生●PCOSは卵巣内に小さな卵胞がたくさんあるため、排卵誘発剤の刺激によって一度にすべての卵胞が大きくなり、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)を起こすリスクがあります。OHSSを予防するには、HCG注射の代わりにGnRHアゴニスト点鼻薬で起きるLHサージで排卵をうながす方法などがありますが、タイミングやAIH周期での保険の適応はありません。また、成熟卵が育ちづらいというデメリットがあります。みみさんの主治医が提案する排卵誘発法でリセットが続いているのも、OHSSや多胎妊娠のリスクを避けるためになるべく刺激せず、安全に、単一排卵を目指してくださっているからだと思います。でも、リセットが続き、なかなか先に進めないまま1年が経過することにもどかしさもあるでしょう。現在はOHSSのあらゆるケースを想定して予防する方法や対策法がありますから、排卵誘発できちんと刺激し、成熟卵を複数個採卵できる体外受精にステップアップすることを視野に入れていただきたいですね。
最後にアドバイスをお願いします。
臼井先生●卵管造影検査で造影剤が広がらなかったのは、もしかしたら卵管周囲に癒着があるのかもしれません。確定診断となる腹腔鏡検査なら、卵管周囲の癒着が見つかればその場で剥離できます。同時に卵巣にドリリングすることで排卵が改善して自然妊娠につながることもあります。まだ受けていなければ腹腔鏡検査を試してみるのも選択肢。年齢的にもまだ若く、方法はいろいろとあるので、みみさんにとって最善と思える治療を積極的に選んでいただきたいと思います。