【Q&A】凍結胚が得られない~岡野先生

はむさん(28歳)

採卵1度目ショート法で凍結一個(未熟卵が多め)
2度目ショート法で凍結一個(前回未熟が多かった䛾でトリガーhcgを500から10000に変更)
3度目アンタゴニスト法で凍結二個(ダブルトリガーで未熟卵防止)
4度目アンタゴニスト法変性の為凍結0
今回5度目もアンタゴニスト法で凍結0。ダブルトリガーで、採卵数12個、3個未熟、4個異常受精、5個正常受精、その後分割が上手くいかず凍結できませんでした。
28歳の年齢の割に卵子の質が悪いと言われ、今まで出来た胚盤胞はグレード全て4BCです。
次もしやるなら、もう今回と同じようにアンタゴニストで新鮮胚移植をやってみるしかないと言われました。
刺激が強いアンタゴニストで新鮮胚移植をしても妊娠率は下がるんじゃないかとお聞きした所、沢山採ってその中に質がいいのが一個でもあるほうが、効率がいい(低刺激にすると質の悪い確率が上がる為)と言われました。

もう質のいい卵に出会うまで数をこなすしか方法はないのでしょうか?
新鮮胚移植をするのに、中刺激でいいのか、低刺激だと効率も確率も下がると思いますか?
他の先生の意見もお聞きしたいのでよろしくお願いします。

絹谷産婦人科の岡野真一郎先生に伺いました。

岡野 真一郎 先生 (絹谷産婦人科 副院長)川崎医科大学卒業後、広島大学医学部医局、広島市立安佐市民病院産婦人科、土谷総合病院産婦人科、公立みつぎ総合病院産婦人科、呉共済病院産婦人科、中国労災病院産婦人科医長を経て、2007年より現職。日本生殖医学会認定 生殖医療専門医、日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

ご相談の方は、28歳でAMHが2.12とやや低めとのことですが、調節卵巣刺激である程度卵子は得られているようです。

当院でも、基本的に卵巣の反応がある方には調節卵巣刺激を用いています。

卵子の質が悪く、胚盤胞まで発生しにくいとのことですが、受精方法として顕微授精も併用されているでしょうか?

また、御主人の精液所見に問題はないでしょうか。精子のDNA変性が多い場合、受精しても胚盤胞発生率が低いことが指摘されています、有効な対策はないのですが、PICSIを用いてみるのも良いかもしれません。

当院では、胚盤胞発生率が低く良好胚が得られない方には、初期胚で凍結をして、2個移植を検討するなども行っております。

採卵時に、成熟卵子数を増やす目的で、当院でもデュアルトリガーを用いたり、トリガーの時間を延長して37時間ぐらいにしています。トリガーの時間は一般的に35-36時間ぐらいとされていますが、長めにしたほうが成熟卵子の獲得率が高くなるとの報告もあります。

新鮮胚移植は、一般的には凍結融解胚移植よりも妊娠率が低いとされています。体外受精治療が保険適応となり、回数制限が設けられたため最近では新鮮胚移植はあまり実施していませんが、実施する場合は、トリガー決定時のP4値が高くないことや、子宮内膜の厚みがあること、OHSSのリスクが低いことなどを考慮しています。

いずれにしろ、先生とよく相談され治療法を決定するのが良いと思います。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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