ちいさん(37歳)
2人目不妊です。1人目は、4年前にタイミング法で出産しました。
2人目はタイミング法、人工授精を数回行い、体外受精に進みました。
1回目の採卵で4個胚盤胞ができ、3回移植。1回目着床せず、2回目血液検査で妊娠判定後出血し流産。3回目着床せず。
2回目採卵で、6個胚盤胞ができました。
次の移植で、担当の先生から、2個戻しも考えておいてくださいと言われました。
多胎妊娠にリスクがあることは多少分かっていますが、リスクをもっと詳しく知りたいのと、どのようにすれば良いのかアドバイスをお願いします。
井上先生に聞いてきました。
2個胚移植には、同じ日齢の胚を2個同時に移植する方法(初期胚2個または胚盤胞2個)と、二段階胚移植があります。二段階胚移植では、初期胚+胚盤胞をそれぞれの日齢で別の日に1個ずつ移植します。
ちいさんの場合は、現在凍結中の胚はすべて胚盤胞のようですので、2個移植の場合は胚盤胞2個を同時に移植することになるかと思います。
二段階胚移植では、最初に移植した初期胚が子宮内環境を変化させて次に来る胚盤胞が着床しやすい状態にする、という効果が期待できると言われています。また、同様の着床改善効果をねらって胚盤胞培養に用いた培養液を初期胚の代わりに子宮内に注入する方法があり、シート法と呼ばれています。もし培養液が保存されているのなら2個移植の前に試してみるのも良いと思います。
2個移植は2回分の移植を一度ですることになるので妊娠率はもちろん上昇しますが、2個とも着床して多胎(双子以上)妊娠の可能性がでてきます。多胎妊娠は早産の増加や、妊娠高血圧症の発症など母児ともに大きなリスクになりますので、できるだけ避けたいものです。
2回目の採卵で確保できた胚盤胞のグレードはどうでしたか?もし前回採卵と比べて良くなっているのであれば、新しい採卵分の胚盤胞はまずは1個移植するのが良いかもしれません。
1個移植の妊娠率を上げるために、着床前診断で胚の染色体異数性の有無を調べる方法があります。また子宮内フローラ検査、ERA、慢性子宮内膜炎検査などで子宮の着床環境の検査をしておくこともできます。
自分でできることとして、骨盤血流を良くするために冷えないようにすることが大切です。ゆっくりお風呂につかることや、ウォーキングなどの軽い運動、身体を温める食材を摂取することなどを移植前の患者様にすすめています。