先進医療のこと、詳しく教えて!

生殖補助医療と一緒に行うことで治療効率が上がると期待できる検査や治療が「先進医療」として認可されました。保険診療との併用はどうなるのでしょうか?
「先進医療」について、厚仁病院の松山先生に詳しくお聞きしました。

厚仁病院 生殖医療部門 松山 毅彦 先生 東海大学医学部卒業。小田原市立病院産婦人科医長、東海大学付属大磯病院産婦人科勤務、永遠幸レディースクリニック副院長を経て、1996 年厚仁病院産婦人科を開設。厚仁病院理事長。日本産科婦人科学会専門医。日本生殖医学会生殖医療専門医。

保険診療と併用できる

保険診療と保険外診療の併用は原則として禁止されており、併用した場合、全体について、自由診療として扱われます。しかし、厚生労働大臣の定める「評価療養」と「選定療養」については、保険診療との併用が認められています。評価療養の中に、タイムラプスやERAなどの先進医療が含まれます。これらは、評価療養という名前のとおり、将来、保険適用とするべきかどうかを厚生労働省で評価・検証を行っている診療という意味です。ですから現在のところは、その費用分は自己負担になるという点をご注意ください。2022年6月現在、先進医療として承認された技術は、左ページでご紹介しています。ここに揚げた技術以外にも順次申請され、認定されています。最新情報は厚生労働省のホームページで確認してください。たまに患者様から「先進医療は保険適用ですよね」と言われることがありますが、「保険診療と併用した先進医療の費用は患者様の自己負担となります」とお答えしています。おそらく、民間の保険会社の商品で、先進医療を対象としているものがあるのでそのように勘違いされるのかもしれませんね。

治療計画時に検討を

2022年4月より保険診療がスタートしたばかりですが、やはりすべての治療を保険の範囲内で行うことは難しいと感じています。たとえば、当院では受精卵の培養はタイムラプスを使用して行っていますが、保険診療の場合、タイムラプスは先進医療なので、それにかかる費用は自己負担となります。保険診療で行っていると使いたい薬が保険適用外のために処方できないといったケースもあります。大事なことは、最初の治療計画時に先進医療のことも含め、医師と話し合うことでしょう。

当院でも、治療計画時にどのような治療や検査を行うか、その中で何が先進医療に当たるか、なぜそれが必要なのかなどを患者様に説明しています。そのうえで、患者様に先進医療を行うかどうかの判断をしていただく場面も出てくると思います。生殖補助医療における先進医療のなかには、治療がある段階まで進んだ方にとって有益と考えられる医療技術も多いので、私たちもぜひ早い段階で保険適用になってほしいと思っています。

先進医療に認定されている主な治療

ERA

不育症の方や受精卵を戻しても着床しない方向け。より着床しやすい環境を作るため、着床に適した時期(着床の窓)を調べることで、より最適なタイミングで受精卵を戻すことができる。

EMMA/ALICE

子宮内に、着床に良い菌がどのくらいあるか調べる検査(EMMA)と、子宮内膜炎の原因菌の有無を調べる検査(ALICE)。受精卵を戻しても着床しない方の治療法を探るヒントとなる。

タイムラプス

培養中の受精卵を一定時間ごとに撮影する技術。発育過程を画像で記録・観察できるため、発育過程で問題があるかどうかを含めた評価をすることで、より良好な胚を選択し子宮に戻すことができる。

IMSI

精子頭部には遺伝情報や受精に必要な酵素が詰まっているため、高倍率(6000倍)で精子を観察してより良好な精子を顕微授精に使用することで、受精率や妊娠率の向上に期待ができる。

PICSI

DNA損傷を起こしていない成熟した精子の頭部がヒアルロン酸に結合しやすいという性質を利用して、見た目だけでは判別できない良好な精子を選別し、顕微授精を行う。

子宮内膜刺激胚移植法(SEET法)

胚移植数日前に胚培養液を子宮に注入することにより、子宮内膜に刺激を与え、受精卵の着床に適した環境を作り出し、着床の促進を期待する方法。胚移植の着床不全がみられる場合に行う。

二段階胚移植

良好胚を反復して移植しても妊娠に至らなかった人への次の段階の対処法。受精後2~3日目の初期胚をまず1個移植し、さらにその2~3日後(受精後5日目)に胚盤胞を1個移植する方法。

ここにあげた技術以外にも順次申請され、認定されています。最新情報は厚生労働省のホームページで確認してください。多くの先進医療が保険適用になることを期待しています。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。