自分の心と正直に向き合いながら、やりきった不妊治療

自分の心と正直に向き合いながら、やりきった不妊治療これからも「治療をやめた人」として発信を続け、誰かの役に立ちたい…。
年齢を意識し始めた30歳からの12 年間、自分なりのスタイルで妊活に向き合ってきたさけさん。
その心の内をSNSやブログに綴りながらたどり着いたのは、子どもがいない幸せのカタチでした。

30歳で妊活にめざめ14回の人工授精にチャレンジ

同級生が主催する飲み会で出会った、さけさん(42歳)とさけ夫さん(48歳)。その後、さけ夫さんからメールでおつき合いを申し込まれました。「最初はお断りしたんですが、どう勘違いしたのか、『ありがとう』と返信がきて(笑)。それから、おつき合いがはじまりました」

2年後に二人は結婚。さけさんはフルタイムで働きながら、夢だったグラフィックデザイナーを目指して専門学校に通いました。「子どもはいつかできたらいいなくらいに考えていて、妊活は完全に後まわしにしていました」

その気持ちに変化が表れたのは、30歳の時。「なんとなく若いほうが妊娠しやすいのではと思い、自分の年齢が気になりはじめました」

病院に行けばすぐに妊娠できると思い、近くの病院でタイミング法を半年間試しましたが、うまくいきませんでした。担当の先生に人工授精をすすめられましたが、さけさんはここで治療をやめてしまいます。「人工授精という言葉の強さにおじけづいてしまったんです」

それから食事を見直し、整体やリンパマッサージなどで体質改善をしながら、自然妊娠を目指しました。けれど4 年、5 年経っても妊娠する気配はなく、子どもへの思いがますます強くなっていったといいます。

そして、35歳の時に新たな病院で人工授精にチャレンジ。1回目で妊娠しますが、すぐに稽留流産してしまいました。その後も流産の悲しみに耐えて、人工授精を繰り返し、赤ちゃんを待ち続けました。「人工授精を続ければ、また妊娠できるという期待もあって、結果的に14回まで治療をこじらせてしまいました」

人工授精の6回目あたりで、担当の先生に体外受精を提案されましたが、「また、体外受精におじけづいてしまった」そう。ただ、さけさん自身もそろそろ体外受精を…という思いが強くなり、人工授精を続けながら体外受精の情報収集を始めました。そこで頼りにしたのがSNSでした。「体外受精の治療体験をリアルタイムに発信している人の情報と声を聞くうちに、治療の怖さも少しずつ薄れていきました」

9回目の移植でいったん終了41歳で再び治療をスタート

体外受精を始めるために再び転院。「さすがに体外受精までいけば、結果が出るはず」と、気持ちは前向きでした。けれど自己注射と移植を繰り返すうちに、心身の不調を感じるように。体外受精への期待が大きい反面、ダメだったらどうしようと追い詰められ、子どもに対する思いよりも、治療で結果が出ないつらさが大きくなりました。そして、9回目の移植後に次の予約をキャンセルし、治療を終了。「もう疲れきってしまったんです」

それから1年過ぎても、子どもが欲しいという思いが消えることなく、心がざわつきはじめました。「なによりも怖かったのは、子どもを諦めたことを将来の自分が後悔することでした」

お母さまやお友だちの後押しもあり、41歳で不妊治療を再開。「これを最後の治療にする」「1年間治療にしっかり専念する」と心に決め、着床前診断ができる遠方の病院に転院しました。その後さらに転院し、2回の移植を行い、今年、最後の判定日を迎えました。結果は陰性でした。「私なりの覚悟で治療に臨み、少しずつ気持ちを整理してきたので、わりとすっきり最後を迎えられました」。そう涙ながらに笑顔で話してくれたさけさん。

不妊治療を終えて4カ月。「この1年間は諦めるための治療でもあったんですが、どこかで子どもに会えることを期待し、頑張っても妊娠できない不安と闘っていました」と振り返ります。そして今は、「ああ、終われたー」の一言につきるといいます。「子どもを見るとかわいいなと思いますが、もう十分頑張ったからいいかなって思います」

心の支えはご主人とSNS次は誰かの役に立ちたい

さけ夫さんに、治療中の不安やつらさをなかなか打ち明けられなかったさけさんでしたが、「体外受精を始めてから一人で抱えきれなくなり、少しずつ気持ちを話すようになりました。夫の存在は大きかったですね」。さけ夫さんとは友人、兄妹、親子のような関係。さらに不妊治療を通じて同志になり、二人の関係はより深まったといいます。

もう一つの心の支えがSNS。「ここに自分の気持ちをよく吐き出していました。そのなかで同じ悩みや不安をもつ人たちとの出会いがたくさんあり、やりとりできることがすごく貴重でした」

特に体外受精の再開後は、治療体験をリアルタイムに更新。治療を卒業した今も「不妊治療、卒業夫婦」として発信を続けています。

妊活中の人の不安な思いに寄り添ううにさんとのインスタライブをはじめ、自身の妊活体験やメンタル、日常のことを綴ったブログなど、ユーモアとセンスあふれる内容に、「クスッと笑えてはげまされる」「さけさんに出会って救われた」と、日々たくさんのコメントが寄せられています。「私も妊活中に助けられたので、これからは妊活卒業夫婦として誰かの役に立てたらいいなと思います。治療中で悩んでいる人がいたら、ぜひインスタライブで話を聞かせてほしい。そして、子どもがいなくても楽しい人生は送れるよ!と伝えたいです」

最後に気になるのは、これからのお二人について。「妊活中に我慢していた好きな食べ物を解禁しました。かなりの時間を妊活に費やしてしまったので、これからはわがままに生きて、とことん人生を楽しみます」

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。