胚凍結について、 適用期間や範囲の 考え方は?

なるべく保険適用の条件に沿って治療をしたいけれど、凍結胚移植のように数年にまたぐ治療を受ける場合、その適用範囲がわかりにくいもの。凍結胚の保険適用はいつまで有効? また、保険診療前から採卵・凍結している場合は? 皆さまから寄せられた胚凍結のさまざまな疑問について、厚仁病院の松山毅彦先生にお聞きしました。

厚仁病院 生殖医療部門 松山 毅彦 先生 東海大学医学部卒業。小田原市立病院産婦人科医長、東海大学付属大磯病院産婦人科勤務、永遠幸レディースクリニック副院長を経て、1996 年厚仁病院産婦人科を開設。厚仁病院理事長。日本産科婦人科学会専門医。日本生殖医学会生殖医療専門医。

ドクターアドバイス

・管理期間(3 年間)は保険適用になります
・医師の説明をよく聞いて保険治療の選択を
・凍結した胚から移植していきましょう

凍結胚は何年間保存できますか。

保存は 3 年ですが 43 歳までの計画を。

胚凍結及びその保存期間は、凍結してから導入管理で1年間、維持管理で2年間、合わせて3年間が保険適用の対象になり、それ以降の保存は自己負担となります。ただし、保険適用は43 歳に達するまでですので、保存期間中に43 歳になると保険が適用されなくなる点を注意する必要があります。

また、今年の3月までに胚凍結をしていた場合は、4月以降は保険を適用した胚移植に切り替えることが可能です。ただ、患者様には保険に切り替えた場合は使用薬剤が限定されるなど、制限事項を説明・ご理解いただくようにしております。

また、凍結胚の保管期間はクリニックにより違いがあり、1年や2年など保険適用期間より短い設定をしている施設もあります。当院では凍結保存期間は5年間と長めになっていますが、いずれの場合も保険での凍結保存期間が終了した場合は引き続き各施設で設定された期限までは自費で凍結保存を続けることは可能であると思います。

不妊の治療法は変わっていきますか。

当院の方針は変わりません。

今回の保険診療スタートを機に、基本の治療スタイルを検討した施設も多いのではないかと思います。胚移植については初期胚の1個移植をまず提案し、妊娠に至らない場合に単一胚盤胞移植を提案するという考え方もあります。

実は私も、今回の保険診療スタートを機に、治療法にまつわるさまざまなことをスタッフとともに検討しました。投与する薬剤のみならず培養液においても、培養チームと話し合いました。その結果、これまでのやり方を変えずにいこうという結論に達しました。薬剤も保険適用内で使うためには使用方法等の制限が多く、当院のこれまでのやり方で進めづらい点があることも事実です。患者様には保険適用内もしくは適用外、それぞれの治療法についてきちんと説明し、選択の余地をご用意しています。

移植の考え方は変わりますか。

ご本人の意思によるところが大きいです。

評価の低い胚が1つ残っている場合、その胚に対する考え方が如実に出てくると思います。 患者様に胚についての情報をきちんとお伝えして、胚移植を行うかどうかをご本人に決めていただいております。

妊孕性温存療法で凍結した卵子(精子)を用いた不妊治療は保険適用?

支援メニューの活用を。

がんの治療を行うことで、卵巣機能または造精機能が低下してしまう可能性がある場合に、主たるがん治療を行う前に卵子、精子を凍結保存できます。その場合の助成制度は「小児・AYA 世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業」における支援制度を活用します。その後の温存後不妊治療を実施した場合も保険適用とはなりませんので、先ほどの支援制度を活用してください。

保険適用で凍結された胚の移植は保険適用?

原則的に保険適用となります。

保険適用の考え方としては、採卵した周期に移植、または採卵して凍結された胚については翌周期以降で移植することを基本としています。したがって保険適用で採卵をした場合は凍結胚も含め、保険での移植となります。

ただし、保険で認められている移植回数には制限があります。治療開始日が40歳までは6回、40歳から43歳に達するまでは3回の移植が保険で認められています。その回数を超えた場合、または43歳に達してしまった場合は保険期間で凍結された胚であっても、自費での移植となります。年齢の区分はわかりづらい部分もありますので主治医等に相談をして、保険での移植が可能かどうかを確認してみてください。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。