【Q&A】正常胚を移植しても上手くいかない。~山下正紀先生

山下先生にお聞きしました。

山下レディースクリニック山下正紀先生

1980年、奈良県立医科大学を卒業後、京都大学産婦人科に入局。舞鶴市民病院産婦人科の医長として同院の生殖医療を確立後、神戸中央市民病院で産婦人科医長、体外受精チーフとして数多くの患者さんの治療にあたる。1997年、神戸三宮に山下レディースクリニックを開設。一般不妊治療から高度生殖医療にわたる初診から妊娠成立までを一人で担当し、妊娠したカップルは10000組を超える。キッズルームを併設し、2人目不妊にも対応している。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください

まーぼさん(42歳)

着床前診断をして、4BBの正常胚を移植しましたが、hCG1.6mIU/mlで上手くいきませんでした。
38歳より不妊治療を開始し、採卵5回、胚盤胞移植8回していますが、稽留流産1回、他は陰性か、hCGが55以下で妊娠継続しません。
1度転院しており、今のクリニックで卵管水腫が見つかったため、両卵管切除しています。
(卵管切除する前に、2回hCGが上がるのに胎嚢が確認できず、子宮外妊娠でもなく掻爬したらhCGが下がるという事がありました)
不育症検査は特に問題なく、ビタミンDや銅亜鉛の数値も問題ありません。
Th1/Th2も検査してタクロリムスも移植後に服用しています。
ERA、EMMA、ALICEも検査済みです。
慢性子宮内膜炎も抗生物質で治療済みです。
できる検査䛿全て検査し、今回着床前診断でできた正常胚を移植しましたが上手くいかず途方にくれています。
クリニックには残っている卵は初期胚2つ、胚盤胞4CC(38歳の時採卵)と2G(40歳の時採卵)でグレードがよくありません。
もう一度採卵した方が良いでしょうか?
着床前診断は費用が自費でかなり掛かるのであまり考えてはいません。
今後の治療をどうすべきか悩んでいます。

私の知る限りできると思われる検査や治療は全てされているように思います。
今から新たに行う検査や治療法は思いつきません。

PGT-Aを受けられて正倍数性の胚を移植しても、出産率はせいぜい60%程度とされております。
染色体検査ではわからない胚の質の問題や、検査では明らかにできない着床障害のためだろうと言われております。

今後の方針ですが、新たに採卵にチャレンジされてもいいとは思います。保険診療の場合には認められている治療法の中での選択ということになります。

またグレードは低くても38歳とお若い時の胚の方が期待ができることも考えられます。

そのあたりのことも踏まえて主治医の先生とよく相談されることをお勧めいたします。
頑張ってください。

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