2回の体外受精を終えてもう治療のやめ時ではと医師から言われました!
現在43 歳のはるさん。体外受精に何回トライしたら治療継続を諦めなければいけないのか。治療を続ける場合はどんな方針を立てていったらいいのか、かしわざき産婦人科の柏崎祐士先生に詳しいお話を伺いました。
ドクターアドバイス
●着床に関する検査で子宮環境をチェック。
●細やかな治療を望むなら専門クリニックで。
AMH値が高く、卵子が採れているならまだ治療を続ける余地はあると思います
体外受精を2回終えたところで、主治医の先生から「そろそろやめ時では?」と言われたようですが。
柏崎先生● 確かに43歳と年齢は高いですが、客観的に見たらまだ妊娠の可能性はゼロではないと思いますね。
初期流産されたということですが、40歳を過ぎると流産率は30~40%。この方の場合も決して珍しいケースではありません。流産の原因が卵子にあるとすれば、良い卵子に出会えれば着床できるのではないかと思います。
43歳という年齢にしては1・47ng/mlとAMH(抗ミュラー管ホルモン)の値は悪くありません。これはまだ卵巣に残っている卵子の数は十分あるということを示しています。
卵子の質に関しては年齢とともに下がっていきますから、今後治療を続けても前回妊娠した時よりも確率が下がってくることは確かですが、採卵は可能でしょう。2回の体外受精では卵子の数がしっかり採れて、受精卵のグレードも悪くないようですね。
これらの状況を考えたら治療を諦めるのは早いと思います。セカンドオピニオンの先生がおっしゃったように、まだ体外受精にトライする余地はあるのではないでしょうか。
この時点で受けておくべき検査などはありますか。
柏崎先生●もし2回以上流産されているようなら不育症の検査を。異常が確認され、対処できるような原因なら、道が開けてくる可能性があります。あとは着床に関する検査を受けてみてもいいでしょう。着床の窓がズレていないかどうかを調べるERA検査や子宮内の菌の状態を調べる子宮内フローラ検査(EMMA)など。受精卵を受け入れる側の環境をしっかり整えてから移植したいということであれば、これらの検査がおすすめです。また、高齢ということを考えた場合、可能性の低い移植を防ぐために胚盤胞の中身を調べるPGT -Aも選択肢の一つになるかもしれません。
程度はわかりませんが、はるさんは子宮内膜症をもっていらっしゃるということ。子宮内膜症が着床を妨げているという報告もありますから、一度腹腔鏡検査を受けて内膜症の病態を調べておいてもいいでしょう。
妊娠率が1%を切る45歳頃が治療を継続するかどうかの決め時に
今後の治療方針は?
柏崎先生●卵子が採れるうちになるべく多く確保して貯めておく。今の排卵誘発法で卵子がある程度採れているようなら同じ方法を続けていってもいいのでは。そして、着床環境を整えたうえでどんどん移植にトライしていく。ほかの施設でセカンドオピニオンを受けたり、ジネコに相談されてきたということはご本人もまだ諦めていないということですよね。卵子が採れているうちは前向きに治療を続けていっていただきたいと思います。
大学病院への転院を検討されているようですが、不妊治療専門クリニックと大学病院では治療や方針にどのような違いがあるのでしょうか。
柏崎先生●治療のレベルや受けられる検査についてはほとんど変わりないと思います。ただし、大学病院の場合、組織が大きくなるので治療の柔軟性という点では専門クリニックより低くなることも。また、1人の先生が毎日外来に出ているわけではないので、医師が代わると方針も変わってしまうケースもあるようですね。1人の先生にきめ細かく診てもらいたいという人は専門クリニックのほうがおすすめかもしれません。
治療のやめ時はいつですか。
柏崎先生●一般的には妊娠率が1%を切ってくる45歳頃が決め時といわれています。当院では採卵5回を目安にしていますね。ただし、これはあくまでも目安。治療経過や現状をご説明したうえで、最終的にはご夫婦で治療を続けるか、やめるか決めていただくようにしています。