【Q&A】内膜の薄さについて~林直樹先生

林先生に聞いてきました。

ウィメンズクリニックふじみ野 林 直樹 先生 1983年、東京大学医学部卒業。埼玉医科大学総合医療 センター(川越市)などを経て、現職。「体外受精、顕微授精も高いクオリティで対応していますが、できる限り自然に近い不妊治療をご提供したいと考えています。 患者さんはそれぞれお悩みも違いますから、どんなこと でもまずご相談を。時にはご要望に沿えず、厳しいこと を申し上げるかもしれませんが、常に患者さんにとって ベストな治療法をご一緒に見出したいと思っています」。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

ぐんまちゃんさん(27歳) 
こんにちは。
妊活を始めてもうすぐ1年になります。
クリニックに通い始めたのは2ヶ月ほど前からで、現在3週期目になります。
ホルモン値や卵管造影検査、ヒューナーテストなど一通りの検査を終えて全て問題なく、
毎月排卵チェックもしています。
ただ、毎回、排卵日付近や排卵後の内膜が10mmなく、少し薄いのでは?と思っています。
クリニックの先生には特に指摘はされていないのですが、今回も排卵後2〜3日で8.7mmでした。
前回も8mm前後だったかと思います。
8mm前後でも問題ないのでしょうか?
内膜が厚い方が着床しやすいと思いますが、内膜を厚くするにはどうすればいいでしょうか?
また、AMH検査をした際に、9.56とかなり高かったのも気になっています。
生理は30日周期で毎月来ていて、ホルモン値も異常なかったため、こちらも問題ないとクリニックの先生には言われています。

子宮内膜の厚みについては、多くの論文がありますが、体外受精胚移植での成績でみると7㎜以上(理想的には8㎜以上)あれば妊娠には問題ないとされています。
ただし4~5㎜と極めて薄い場合でも妊娠例が報告されており、これ以上でなければ妊娠ならないということはありません。
内膜を厚くする方法として決定的なものはありません。
排卵誘発剤としてクロミッドを使用している周期で内膜が薄い場合には、代わりにレトロゾールを使用してみることをお勧めします。
体外受精胚移植においては多血小板血漿(PRP)療法が子宮内膜の薄い方への治療として注目されていますがまだ保険適応や先進医療には指定されていません。
しかも通常不妊治療では適用しにくい治療法です。
子宮内膜が薄い場合に着床しにくい理由の一つとして、子宮内膜血管と胚との距離が短いために酸素分圧が高くなることによる胚に対する酸化ストレス上昇が挙げられています。
内膜を厚くすることにはなりませんが、抗酸化サプリメントの併用も一案です。
AMHが高い方は、多嚢胞性卵巣症候群の可能性があります。
ホルモン値が問題なくても、再度卵胞期(10㎜以上の卵胞が存在しないときに)にホルモンの再検査するとLH高値が露呈したりすることがあります。
また胞状卵胞数など多嚢胞的ではないでしょうか。
排卵はしていても、卵胞発育が遅いなど、微妙な排卵障害があるかもしれません。
この場合排卵誘発療法としてクロミッドやレトロゾールが適用されます。
後者は2022年4月より保険適応化されており、国際的なガイドラインでも排卵障害を主とした多嚢胞性卵巣症候群の不妊症においては第一選択薬とされておりますのでお薦めです。
不妊原因(不妊症リスク因子)としては、このように排卵因子が一つ考えられますが、広い意味での原因不明不妊症といえるかもしれません。
27歳、妊活期間1年だとすると、さらに半年間はタイミング療法でよいと考えます。
しかしタイミング療法や人工授精併用でもなかなか妊娠が成立しない場合には、卵子ピックアップ障害やまれには受精障害のこともあるので体外受精治療も長期的には視野に入れて治療計画を立ててはいかがでしょう。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。