次回、流産を防ぐにはどんな検査が必要?

凍結胚移植1 回目で流産。

移植再開前に受けるべき検査は?

いながきレディースクリニック 稲垣 誠 先生 1994 年、浜松医科大学医学部卒業。浜松医科大学医学部附属病院、鹿児島市立病院、聖隷沼津病院などで産婦人科医の経験を重ね、2012 年、不妊治療専門施設「いながきレディースクリニック」を開院。「お一人ひとりに寄り添いながら、それぞれの患者さまに合った最適な治療を心がけています」。
かおりさん(38歳)最初から凍結胚移植を希望し、2020 年7 月に初回の移植で妊娠出産。第2子を欲しくて、2021 年7 月に再び凍結胚移植を実施。妊娠したものの9 週で稽留流産。残り2 個( ランクは4BC) の凍結胚で、再度の妊娠出産を望んでいます。流産を繰り返さないために移植前に受けるべき検査はありますか。第1子出産の経験から、不育症の心配は少ないと言われています。また、チョコレート囊胞で右卵巣を切除していることも影響するのでしょうか。

治療歴から気になる点はありますか。

稲垣先生●凍結融解胚移植は、ほかの治療法に比べて妊娠率が高く、最近の体外受精治療の主流になりつつあります。第2子の流産は残念だったことでしょう。
 治療歴を拝見したところ、おすすめしたい検査はいくつかあります。まず、ご主人の精子状態を調べる精密検査はすでにされているのでしょうか。自然妊娠が難しいレべルとのことなので、今回の流産の原因に精子の状態が関与している可能性もあります。

不育症検査を受けたほうがいいのでしょうか。

稲垣先生●不育症とは流産や死産を繰り返し、妊娠はしますが、妊娠を維持する機能がうまく働かず、成熟した赤ちゃんが得られない場合をいい、高齢になるほど増加します。流産を2回以上繰り返すと不育症と定義されます。
 かおりさんは今回初めての流産で、定義には当てはまりません。しかし、不育症の可能性がゼロとはいえません。ご夫婦どちらかに不育症の因子があっても、たまたま運よく妊娠出産できることもあるからです。
 不育症の主な原因は、女性側の因子では子宮形態異常、甲状腺異常、抗リン脂質抗体症候群。夫婦双方に関わる因子は染色体異常などがあげられます。
 「また流産したら」と、不安を抱えたまま移植に進むのは好ましくないので、今のうちに不育症の基本的な検査を受けることをおすすめします。できる限り不安を解消して治療に臨めば、もし次回成功しなくても、また新たな治療の方向性が見えてくるからです。

もし、次も流産した場合、妊娠出産の可能性は大きく下がるのですか。

稲垣先生●もう一度流産された場合は、PGT -A 検査の対象になります。検査では体外受精によって得られた胚の染色体数を、移植前に評価します。異数性の胚盤胞があった場合には、移植を回避することで流産のリスクが減ることが期待されます。また正常の胚を移植できれば、妊娠率の向上が期待できます。

右卵巣の切除は、着床や妊娠の維持に影響しますか。

稲垣先生●卵巣切除の原因となったチョコレート囊胞を含む子宮内膜症には注意が必要です。子宮内膜症は妊娠機能を低下させるリスクのある代表的な疾患の一つなので、今後も定期的な検診が必要です。積極的に各種検査を受けて、これからも前向きに治療に取り組んでいただきたいですね。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。