良い胚盤胞を得るにはどうしたら良いのでしょうか

女性側の原因は特にわからず、しかしステップアップしてもなかなか、結果が出ない、費用がかさむ・・・、不安だけがどんどん募りますよね。

宇都宮先生に、ご意見を伺ってみました。

うつのみやレディースクリニック  宇都宮智子先生

和歌山県立医大付属病院で体外受精などの不妊治療と研究に従事。2010年11月に『うつのみやレディースクリニック』を開院。一般不妊治療から、高度生殖医療までを行う。開院以来、訪れる患者様が、一日でも早く赤ちゃんを抱けるように、スタッフと一丸で治療を行っている。2021年「認定がん・生殖医療施設」として認定を受けて、がん患者さんの“妊よう性温存治療”にも力を入れている。

ののんさん(34歳)

32歳から治療を始めました。精液の数値もあまり良くないです。通水・血液・子宮鏡などの検査をしましたが、女性側の原因にまだこれといった問題は見つかっていません。人工授精4回して全て妊娠せず、顕微受精にステップアップ。アンタゴニスト法で採卵2回、どちらも25個以上取れました。

1回目は5個受精、6日目3BBが1つのみ。2回目は13個受精して、6日目3BC、6日目6CC2つだけでした。凍結して、顕微受精でこれらの胚盤胞を移植しても陽性にならず。採卵費用も高く、また採卵して良好胚盤胞が出来なかったらと考えると恐怖です。

「まだ若いから大丈夫」と、ずっと言われていて、次の採卵もすすめられたのですが、このままクリニックを信じて良いのか、とても不安です。

1.先生から相談内容を見て一番気になる部分を教えていただけますか?

ののんさんは年齢的にも若いですし、体重も太ってもいないし痩せすぎてもいないし、採卵数もちゃんとしていますね。ご主人の年齢がおいくつかわかりませんが彼女は若いですし、現時点の精子で受精させれば妊娠すると考えて、治療をしているのが伺えます。

しかし思ったような結果が出なくて、憤っているのが伝わってくる文面だと感じます。

私のクリニックにも、こういった患者さん結構おられますが、ののんさんの場合は一度目の顕微受精で25個採卵されているのに対して受精卵が5個だけというのは、正直いって少ないなぁと感じました。というのも、このくらい採卵出来ていたら採卵した卵子から、ちゃんと受精卵になって妊娠が成就する期待も出てくと思いますし、受精に結びつかなかった時の患者さんの落胆は手に取るように感じることが出来ます。私が担当医であれば、同じようにショックを受けると思いますね。

2回目の顕微受精では受精率は増えているので、通院しているクリニックの先生が治療で工夫されたと推察しますが、それでも気になるのは「採卵数に対しての受精率の低さ」です。

2.人工授精からステップアップに顕微受精を選択したことについて、先生の考えをお聞かせください。

ののんさんには特に不妊の原因はないと診断されているようですね。

当クリニックでも精液所見が不良で、人工授精を何度か試してみて成果がない場合は、顕微受精を勧めているので、現時点では妥当な治療だと思います。AMHの数値も4.72と高いですし、採卵数を見てもののんさんの妊娠に向けた身体的ポテンシャルの高さが伺えます。

対してご主人の精子の状態が運動率はかなり悪いし、数も充分とは言えないので、あまりよろしくない。相談内容を読んでいると、正直言って、ののんさんのポテンシャルの高さに対して、精子の状態があまり良くない印象を受けます。

それらを踏まえてみると、私としては、卵子と精子、双方向からクローズアップしないといけないと感じますね、

成熟卵がどれだけ出来ているかにもよりますが、卵子だけに問題があるのではなく、精子にもかなりの責任があるように感じられます。おそらく重度の精子無力症ではないでしょうか?

私のクリニックの場合は、生殖医療専門医の泌尿器科の先生に精巣の状態をきちんと診てもらうことをお勧めしています。よく見つかる精索静脈瘤は、手術で精液所見の改善が見込めますよ。まれに精巣がんが発見されるケースもあります。

3.採卵数が多くても「胚盤胞にならない」「着床しない」という患者さんは多いと思います。その理由を教えてください。

年齢的にも若く身体的なポテンシャルは高いのにもかかわらず、卵子の質があまり良くない患者さんは結構います。

例えば妊活中で葉酸などのサプリメントは摂っているけれども、仕事が忙しくて三食きちんと食べていないケースが多いことに驚かされます。

うちのクリニックに通院している方に話を聞くと、仕事が忙しく座って食事をする時間もなかったり、食べていてもお菓子のような軽食で済ましていたりと、全体的に「たんぱく質不足」な印象が強いです。

正直、卵子というのはたんぱく質と脂質の塊ですから、良い卵子(卵)というのは良い栄養を摂っているプリッとした卵子(卵)なんです。

プレコンセプションケアともいいますが、良いたんぱく質と身体が酸化しにくい良い油をきちんと摂って、自分の卵子が赤ちゃんになるイメージができるような、元気な卵子をつくる栄養を補っていくことが大切だと思います。

4.良好胚盤胞を目指すために、先生ならどのような検査や治療を提案されますか?

不妊治療はお金のかかる治療ですから、仕事で忙しい合間での妊活でご夫婦共にストレスを溜める方も沢山いらっしゃると思うのですが、まずは赤ちゃんの元になる卵子や精子を作れる食事を摂って、赤ちゃんの出来る体づくりをすることが大切ですね。

あとは抗酸化作用のあるサプリメントを摂取することも、良い胚盤胞を得るために効果があると思います。

ご主人の精子の運動率が悪い場合は、早めに生殖医療がわかる泌尿器科を受診することをお勧めしています

先生からのメッセージ

妊娠は女性一人では出来ませんし、不妊治療も夫婦一緒に取り組むことが大切になってきます。当クリニックでは治療に関するご夫婦のコンセンサスが取りやすい状況を作り出して、女性側の負担が過剰にならないような診察をしています。

また妊活を病院任せにするのではなく、良い卵子と精子を育むための体づくりや食事、生活そのものを見直すことも大切ですね。

 

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。