ショート法の排卵誘発。刺激への反応が低く、採卵できるか心配です。

神谷レディースクリニック 岩見 菜々子 先生 札幌医科大学卒業。2014 年より神谷レディースクリニック勤務。日本生殖医学会生殖医療専門医。日本産科婦人科学会認定専門医。日本抗加齢医学会専門医。
みゆきさん(39歳)前回は自然排卵していたのか採卵ができず、2 週間後に生理がきました。その後、専門クリニックへ転院し、現在はショート法での採卵周期です。HMG300 単位/ 日を9 日間打ち、発育卵胞は全部で5 個。1 番大きなサイズは18㎜で、ほかは15㎜以下。注射が追加になりましたが、刺激への反応も少なく、このまま採卵できるか心配です。治療は半年〜1 年、月経周期は40 日、AMH 値は低いといわれました。39 歳で、経済的・精神的にも今回が最後とかけています。ほかに治療法はありますか?

十分な個数や大きさの卵子が採取できない理由は何でしょうか?

岩見先生●AMH値が低いことと年齢が関与しているかと思います。生理周期が40日と長めで、AMH値が低いという場合、AMH値1.0ng/ml以下かもしれません。その場合、連日注射を打っても採卵数が5個未満とか、反応性が低いということがあります。ただ、胞状卵胞数が多いとAMH値が低くても多く採卵できることも。誘発開始時の胞状卵胞数と、FSH(卵胞刺激ホルモン)などのホルモン値も採卵数に影響すると思います。

排卵誘発はショート法ですが、ほかにどのような誘発法がありますか?

岩見先生●ほかには、アンタゴニスト法や黄体ホルモン併用療法などがあります。みゆきさんの場合、転院前に黄体形成ホルモンの抑制があまりうまくいっていないことで、自然排卵した可能性があるため、現在の主治医はショート法を第一に提案したのではないかと思います。主に点鼻薬を使うショート法はアレルギー性鼻炎などがなければ、一番排卵しにくい方法といわれているからです。ショート法は卵子が十分に育つまで注射をし続ける方法がとれますし、5個も育っているのですから、心配せずに今の治療法を信じて続けるのがいいでしょう。

卵巣機能の低下が、不妊原因なのでしょうか?

岩見先生●出産歴があるとのことですから、やはり年齢が一番大きな要因だと思います。
35歳を過ぎると、染色体の正常な胚盤胞になる確率は1年ごとに7〜10%ずつ低下し、39歳では胚盤胞1個当たりの妊娠率は20〜30%くらいまで落ちてしまいます。以前の妊娠とは違い、良い卵子に出会うまでに時間がかかっているのかもしれませんね。

採卵数を増やしたり、卵子を成熟させるためにできることはありますか?

岩見先生●身長と体重から出すBMI値が約25と高め。すごく痩せる必要はありませんが、体重を1〜2kg減らすだけでも注射への反応性が良くなり、AMH値も上がるといわれています。また、アンチエイジング系のコエンザイムQ10やアスタキサンチン、最近注目されているビタミンDなどサプリの追加を検討してもいいかと思います。
 精神的・経済的負担を考えると治療期間を決めることも大切。妊娠歴がある場合、40歳代前半は妊娠の可能性があるので、転院した時期をスタート地点と考えて頑張ってください。
>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。本サイトの全ての記事は医師監修です。