ホルモン値が閉経女性とほぼ同じくらいと言われ…
不安だらけの3年間の不妊治療。4回目の移植でようやく卒業できました。卵巣機能不全でなかなか採卵ができず、採れてもグレードが良くなかったというMさん。しかし、ついに陽性反応が出ました。3年間の不妊治療を振り返っていただきました。
不安だらけだった3年間の不妊治療
実は以前、Mさんからいただいたアンケートの回答には「なかなか妊娠にいたらず、不安があります。頑張っていきたいと思いつつも、こんな私でも少し望みをもって治療を受けていいのか悩んでいます」とありました。そのため、当初は不妊治療中の方としてご登場いただく予定でした。ところが、取材当日、Mさんは声を弾ませて
「実は昨日、不妊治療のクリニックを卒業しました。ちょうど10週目に入るところです。昨日の最後の通院で元気な心音も聞かせてもらいました!」と思いがけず、妊娠の報告を受けました。
Mさんが一つ年下のご主人のTさんと結婚したのは3年前、39歳の時です。友人の紹介で4年ほどのおつきあいを経てのことでした。「年齢的なこともあり、すぐ子どもが欲しかったので人気のクリニックへ通い始めました」
タイミング法を半年間ほど続け、1度、自然妊娠したのですが流産してしまいました。その後、人工授精に3回トライしたのですが、それでもダメだったので、体外受精へステップアップしました。M さんは卵巣機能不全でした。月経周期が乱れがちで生理がない月があったり、排卵もなかったりする症状です。
「ドクターからは、ホルモン値が閉経に近いほど悪いと言われてショックでした。もう子どもは無理かもと思ったのですが、ドクターがホルモン値に関して今はあまり気にしなくていい、卵が採れるか採れないかの問題だとおっしゃってくれたので、少し気が楽になりました」
採卵は毎回ほぼ1個グレードも良くなくて
採卵は計4回。1回目は低刺激法で、プレマリンⓇのみで採卵しました。採れたのは1個で新鮮胚移植し、着床。心拍まで確認できましたが、流産してしまいました。
「主人はまた頑張ろうと言ってくれましたが、流産はこれで2回目。さすがに落ち込みましたね」
2回目の移植も陰性だったため、残りの3、4回目は高刺激でアンタゴニスト法、ロング法でそれぞれ採卵を行いました。
「高刺激にしてもらっても1個か2個しか採れなくて。AMHの値はそんなに悪くなかったので、ドクターにも5~6個採れてもいいんだけどねと言われましたが」
しかも、受精卵のグレードがあまり良くありませんでした。そのせいか3回目も陰性でした。
「2回目、3回目と陰性が続いた後、8月に4回目の移植をしたんです。その結果待ちの時点でジネコさんのアンケートに回答していたんだと思います。4回目は3個採れて1個だけ胚盤胞になったのですが、受精卵のグレードも良くないとわかっていたので、今回もダメかなと思い、次の採卵をいつにしようかなと考えていました。とはいえ、年齢も年齢なので頑張るとしても年内、もしくは43歳になるまでにしようとおぼろげに考えたりしていました」
ところがなんと8月末に陽性の判定が出たのです。9月には胎囊と心拍も確認できました。
「本当に夢のようです。諦めなくて良かったです」
サプリや適度な運動で体質改善も行って
ようやく3年に及ぶ治療に終止符を打つことができたMさん。不妊治療を振り返り、良かったなと思うのは自分の体の状態がわかったことでした。
「やはりホルモン値が閉経に近いというのが一番ショックでしたが、それ以外にもいろいろあって(笑)。クリニックで栄養素の何が足りないかを調べてくれたのですが、私はたんぱく質と鉄分が足りなかったんです。それでドクターに教えてもらったサプリをずっと飲んでいました」
それ以外にも体を温めるため、ヨモギ蒸しに行ったり、玄米食に切り替えたり、添加物は摂らないようにするなど、体質改善にもいろいろ挑戦してきました。
「でも、ここまで頑張ることができたのは主人のお陰です」とMさん。流産の後、落ち込んでいるMさんをTさんはずっとそばにいて気遣い、おいしいものを食べに連れて行ってくれたそうです。また、Mさんは排卵誘発のため、自宅で自己注射を打っていたのですが、副作用がかなりひどく、何度も吐いたりしていたそうです。
「そんな私の姿を見て、そこまで頑張らなくていいよって言ってくれて。でも私自身がなかなか諦めきれず、もう少し頑張らせてほしいとお願いしました」
妊娠できたとはいえ、10週目なのでまだまだ油断はできない状況です。
「特に私は切迫流産ぎみなので無理をしないように気をつけています。運動も1日1回、往復30分ほど歩く程度にとどめています」
Mさんが不妊治療中の人たちに今、伝えたいのは、赤ちゃんを諦めないでほしいということ。
「40代で、卵巣機能不全で生理周期も乱れがちで、採卵も1回につき、ほぼ1個しか採れなかった私が妊娠できたんです。もちろん誰もが頑張れば赤ちゃんを授かるというものではありません。でも、少なくともご自身が納得できるまで頑張ってほしいと思います」