卵巣に、疾患があった経歴があり、最近ではFSHが高くなってきています。
卵巣機能低下が疑われるのでしょうか?そんな時、どうしたらいいの?
藤本先生に聞いてきました。
藤本 尚先生
私は、
左卵巣はかろうじて機能していますがチョコレート嚢胞があります
今周期はタイミング指導のもと、
HCG注射をし、
ですが、
FSH数値が高いと卵巣機能が低下するとのことで病院からは妊活
プレマリンを服用しつつ、
ネットで調べますとそのような排卵しなくなる情報がありとても不
いずれは体外受精も視野に入れています。
おめぐさん、はじめまして。
今回の相談ですが、具体的なFSHの数値が記載されていないので正確にはお話しできませんが、右卵巣摘出後であり、左卵巣はかろうじて機能している(これは左卵巣も一部切除しているという意味でしょうか?)とのことで卵巣機能が低下していることがうかがえます。卵巣機能が低下してくるとFSHが高くなり、卵子の発育がしづらくなります。
AMHは38~39歳相当と記載がありますが、本来そのくらいのAMHであればまだFSHが高くならないことが多いです。FSHが高いということであれば、もしかしたら本来の卵巣機能よりもAMHが高い数字が出ている可能性があるのかもしれません。本当はもっとAMHが低いのに高く出てしまった(どんな検査にも必ず誤差があるからです)のかもしれません。
ご質問にあるプレマリンを服用しつつタイミングや人工授精はできるのでしょうか?という質問に対しては“できる可能性があります”というお返事になります。卵巣機能が正常の方がプレマリンを服用するとは卵胞が発育しなくなり排卵しなくなりますが、卵巣機能が低下している人の場合には、逆にプレマリンを服用することで卵胞が発育するようになる人がいます。主治医の先生が『妊活が終わるまで飲み続ける』という言葉も、おめぐさんの卵巣機能が低下しているからと判断しての発言と思います。
大事なのは、FSHが高いとなぜプレマリンが必要なのか?ということをおめぐさんに理解していただくことかなと思います。そこを理解してプレマリンを内服していただくことが大事かなと。ただし、これを理解するためには、卵巣から卵子が育つシステムを理解しないといけないのですが、言葉で書くのは至難の業です。
私のところにも、おめぐさんと同様の患者さんが何人も通院しています。初めに現在の状況を理解していただき、治療をしてもなかなか排卵しない場合があることを御理解いただき治療を開始します。1年通って一度も卵子の発育のない方もいますし、数か月に一度発育のある方もいます。卵子の発育のあった周期に患者さん毎の治療(タイミング、人工授精、体外受精)を行います。
私はおめぐさんのような状況の方が来て治療を開始するときには、以下の資料(普段の診察ではパワーポイントでの資料)をお見せして、まずは今の状況を理解していただき今やっている治療でなぜこの薬を飲んでいるのかを理解していただくようにしています(なぜFSHが高いのか?なぜFSHが高いとプレマリンの内服が必要なのか?など)。
良ければ私のインスタグラムになるのですが見ていただき、相談者さんがどんな状況なのかを自分で理解する手助けになればと思います。
卵子を育てるシステム
https://www.instagram.com/tv/B9jxqMel7gD/?utm_medium=copy_link
卵巣機能が低下している場合 Part1
https://www.instagram.com/tv/B9qm4tulkBJ/?utm_medium=copy_link
卵巣機能が低下している場合 Part2
https://www.instagram.com/tv/B9swj0-FURn/?utm_medium=copy_link
この3つの動画を見ていただき今の自分の状況を御理解いただき、納得してプレマリンを服用して治療していくことが出来ればと願っています。
最後に、女性の卵子は生まれた時が最大で減る一方です。薬で卵子を増やしたり、人から卵子を貰ったりできません。そのため下がった卵巣機能を上げる方法はありません。ただし、おめぐさんは33歳なので卵巣機能が低下しても出てきた卵子の質は33歳で妊娠のチャンスがまだまだある年齢です。体外受精を視野に入れているなら早めに始めることをお勧めします。出てきた卵子の質は33歳ですが、卵巣機能が下がってしまい卵子が発育しなくなるとどの治療法も行うことが出来なくなるからです。そのため1回あたりの確率が高くなる体外受精を勧めます。