排卵誘発剤と黄体ホルモン補充について

誘発剤が排卵に良くない影響を与えることはある?

あいウイメンズクリニック 伊藤 哲 先生 順天堂大学医学部卒業、同大学院修了。順天堂大学医学部産婦人科学教室講師、国際親善総合病院産婦人科医長を経て、1999 年あいウイメンズクリニック開院。日本生殖医学会生殖医療専門医。
相談者 : ラビさん(38歳)排卵誘発剤を使用する前は自然周期で14 日前後には卵胞20mm ほどに成長し、自然排卵していました。セキソビット® を初めて使用したら排卵まで18 日かかり、薬を増量しましたが、さらに排卵までの期間が21 日になりました。そして先月はクロミッド® を内服。今度はかなり早くなり、10 日目で18mm になりHCG注射で排卵し、ルトラール® を10 日内服。ホルモン補充で周期が乱れたため、今周期は誘発剤を使用しませんでしたが、卵胞がまったく育っていません。

ラビさんの場合、排卵誘発剤を使う必要はあったのでしょうか。

伊藤先生●排卵障害や生理の異常は特に見受けられないようですが、通常、何もしない自然の状態だと1周期に1個しか排卵しません。クロミッドRなどの排卵誘発剤は、普段より多く排卵するようにして妊娠率を少しでも上げる目的で使います。排卵誘発剤を使用すると自然よりも10~15%妊娠率が上がるという報告もあるのですね。
 当院では年齢的に少し余裕がある方の場合、2、3周期自然な形で様子を見て、結果が出なければ排卵誘発剤の使用をご提案しています。ラビさんは現在38歳。30代後半の方でもAMH値が極端に低くなければそのような形で治療していますね。

セキソビットRやクロミッドRを飲んだら排卵の時期に乱れが出たということですが。

伊藤先生●セキソビットRはクロミッドRに比べて効き目が弱い薬なので何ともいえませんが、クロミッドRを飲んで排卵の状態が悪くなるという人はまれなのではないでしょうか。ほとんどの場合、排卵が不順な方は順調になり、40代で排卵の周期が早い方は改善されることがあります。
 クロミッドRを内服したら10日目で卵胞径が18㎜になったということ。クロミッドR服用時はだいたい20~25㎜くらいで排卵します。この方はもう少し待って排卵させたほうが良かったのではないでしょうか。13、14日目でHCG注射を打てば平均的な大きさで排卵したと思います。当院では卵胞径が18㎜の状態で注射を打つというのは考えられません。卵胞の成長というより、排卵の見極めが早すぎたのではないかと思いますね。

排卵誘発剤使用後、また自然な形に戻したら卵胞が育たなくなってしまったそうです。

伊藤先生●これについて薬の影響がないとはいえません。なかにはクロミッドR服用後、自然の排卵が起こりにくいという方もいらっしゃいます。そのような場合は低用量ピルなどを飲んで1回治療をお休みしたほうがいいかもしれません。ご心配だと思いますが、少したてば通常通り回復してきますからご安心ください。
 今後、排卵誘発剤を使うかどうかはご本人の意志によると思います。薬に対して不信感があるようなら無理をせず、自然な形で人工授精にステップアップするなどの選択肢もあるので、先生とよく相談されてみてはいかがでしょうか。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。