低刺激法にして改善する可能性はありますか?

刺激法を変えることで 結果が良くなることはありますか?

明大前アートクリニック 北村 誠司 先生 1987 年、慶應義塾大学医学部卒業。1990 年、同大学産婦人科IVFチームに配属。1993年、荻窪病院に入職。2008 年、虹クリニック、院長として就任。2018 年2月、明大前アートクリニック開設。医学博士。日本産科婦人科学会専門医。日本生殖医学会生殖医療専門医。日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。
相談者 : ブラウンさん(37歳)アンタゴニスト法で採卵を3回したものの、良好な胚盤胞が得られません。3日目以降成長が止まってしまいます。刺激方法をロング法やショート法、または低刺激法に変えることによって、結果が良くなることはありますか(1年前、他院にてロング法で採卵し、グレードの良い胚盤胞が3つできました)。また、それ以外にも培養の環境が影響することもあると耳にし、転院を検討したほうがいいのか悩んでいます。

やはりアンタゴニスト法はこの方に合っていない刺激法なのでしょうか。

北村先生●3回採卵をしても、受精卵の発育停止で胚盤胞までなかなか育たない。唯一PGT ‒A検査に出せた胚盤胞も染色体異常で、ABC評価でおそらくCだったのではないでしょうか。このような状況でアンタゴニスト法を繰り返すメリットはあまりないと思います。当院では1回目でも合わないと判断したら、次は刺激法を変えることもあります

次回はどんな方法が候補に挙がりますか。

北村先生●AMH(抗ミュラー管ホルモン)の値が0・95ng/mlとのことで、36歳としては低めです。AMHが低値だと強い刺激をしても反応しにくく、採れる卵子の個数も多くは望めないので、通常ならロング法という選択はあまりしないと思います。ただし、この方は1年前に実施してグレードの良い胚盤胞ができたという実績があるので、次回もロング法は十分候補になるのではないでしょうか。
 ほかにはクロミッドRと注射を使う中間の刺激法、クロミッドRの飲み薬だけを使う低刺激法なども。当院だったら、これらの方法のメリット・デメリットをご説明し、患者さんと相談しながら決めていくと思います。
 この方の場合、同じ方法を繰り返しているので、とにかく次は違う方法でトライしていくことが必要でしょう。

胚盤胞ができるまで移植を待ったほうがいいのでしょうか。

北村先生●ほかの方法にトライしてみて、それでも受精卵の発育停止が多いという場合は受精卵のつくり方が原因ではない可能性もあります。加齢による影響も考えられるので、そのような時は初期胚を使って移植していくという方法もあるでしょう。とりあえず今は刺激法を変えて、良好な胚盤胞をつくることを目指していく形がいいかと思います。

培養環境が妊娠率に影響することはありますか。

北村先生●不妊治療の世界でも昔から「水を替えると状況も変わる」というような考え方がありますが、培養液に関して今はどの施設でもほとんど違いはないと思います。胚培養士の経験値や設備などにおいては妊娠率に多少の差が出ることがあり、それが転院を検討する要素の一つになるかもしれませんが、この方にとって、まずは刺激法を変えてみることが一番なのでは。何度か違うやり方で臨んで、それでも結果が出なかったら転院を考えてみてはどうでしょうか。
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