高刺激 or 低刺激、良質なのは?

臼井 彰 先生(臼井医院不妊治療センター)東邦大学医学部卒業。東邦大学大森病院で久保春海教授の体外受精グループにて研究・診察に従事。医局長を経て、1995 年より現在の東京・亀有にて産婦人科医院を開業。

 

まりも子さん(39歳)からの相談 不妊治療歴2年。今までアンタゴニスト法→12個(9受精)、アンタゴニスト法→6個(3受精)の計12個のうち4個を初期胚、2個を胚盤胞移植→陰性。転院後、ロング法→10個(10受精)で、2個を初期胚、2個を胚盤胞、2段階移植→陰性。今回またロング法で採卵して6個採れ、受精は未確認です。10個移植して結果が出ないので、質が悪いのかと感じています。「低刺激のほうが数が少ない分、質がいい」というのをネットで見かけましたが本当でしょうか?

 

高刺激と低刺激、採れる卵子の質に違いはあるの?

この方は年齢の割に数は結構採れていますよね。アンタゴニスト法やロング法など刺激が高い方法だと比較的多くの卵子を確保することができます。一方、刺激が低いと採れる卵子の数は少なめに。

では、数が少ないほうがその分、質がいいかということは正直、何ともいえません。高刺激をしても質のいい卵子が採れて妊娠している方はたくさんいらっしゃるし、低刺激で成功された方もいる。統計的には、卵子が12個あれば子どもが1人産まれるといわれています。たくさん採れればそれだけ質のいい卵子が含まれている確率が高まり、妊娠のチャンスも増えるということでしょう。

低刺激で2、3個の中の1個にたまたま質のいい卵子が含まれていたという場合、高刺激の中の1個より確率が高いような印象を受けてしまうのではないでしょうか。全員の方に合う刺激法はなく、どちらがいいかはその方の不妊原因や体質によって異なってきます。試してみないとわからないと思います。

10回ほど移植しても妊娠に至らない原因は?

受精卵が胚盤胞まで進んでいるので質はそれほど悪くないと思います。着床に関しては着床不全の検査や子宮内膜の受容能力を調べるERAという検査もされているようですね。先進的な不妊治療専門施設で、やるべきことをきちんとやっていらっしゃる。

そうなると原因究明はなかなか難しいですね。このような方の場合、最終的な検査として着床前診断「PGT‐A」を受けてみられてもいいかと思います。この検査は受精卵の染色体の異数性を調べるもので、ARTの反復不成功や流産を繰り返す方を対象としています。国内ではまだ臨床研究の段階で、受けられる施設は限られていますが、移植前に移植可能な胚かどうかを調べることができるんですね。

この検査はハードルが高いということでしたら、まずは次の刺激法を工夫されてみては? 今までやったことのない低刺激法で卵子をつくり、新鮮胚移植で戻す。おそらくこれまでは凍結融解胚移植だったと思われるので、刺激法も移植のやり方も変えてみることで、違う反応が起こることも期待できます。まだ卵子が採れているので、前向きに治療に臨んでいただきたいですね。

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