学校では教えてくれない妊娠適齢期のこと

女性の社会進出が進むなかで、晩婚化や高齢で妊娠、出産する人が増えています。しかし、平均 寿命が伸びても「妊娠適齢期」での妊娠、出産、育児が望ましいとされています。その理由につ いて、田村秀子婦人科医院の田中紀子先生に伺いました。

田村秀子婦人科医院●田 先生 京都府立医科大学医学部大学院修了。2008年から田村秀 子婦人科医院に勤務、現在、田村秀子婦人科医院副院長。

妊娠、出産に適し「妊娠適齢期とは」

女性は、胎児期の卵巣に一生分の卵子をもっており、胎生 20  週(妊娠5~6 カ月)頃に700万個にピークを迎えた卵子は、生まれる頃には約200万個、さらに月経が始まる頃に約20万個まで減少し、それから毎月の月経で約1000個ずつ消費され、閉経期を迎えます。いっぽう、男性は精巣にある精子のもとになる細胞から約3カ月ごとに新しい精子がつくられています。

卵子と精子の大きな違いは、卵巣内の卵子には数と時間に限りがあるということです。卵巣の中で卵子が妊娠のタイミングを待ち続ける間に、卵巣の予備能(卵巣に残っている卵子の大まかな量)の低下や、加齢、生活習慣、酸化ストレスなどで、「卵子の老化」が進行します。「卵子の老化」により、受精率の低下や、受精後の胚の成長速度の遅れ、染色体異常の割合の増加により、妊娠率は低下し、流産率は増加します。たとえば、20代の流産率は  10   ~  15 %ですが、35  歳以上では  30 %に増え、 40歳は 60 %、44 歳は 90 %と高くなります。また高齢妊娠は、妊娠合併症の発症率や母体死亡率もあがります。これらの理由から20 代~ 30代前半までが女性の妊娠適齢期と考えられています。

最近は、男性も加齢による精巣機能の低下(精子数や運動率の低下、精子の受精能力の低下など)がみられ、妊孕能が低下していると報告もあり、女性と同様に注意が必要です。

サプリなどで体質改卵子や精子の老化を遅らせ

卵子や精子にかかわる細胞の老化は、自然な加齢によって進行しますが、酸化ストレスも原因と考えられています。一つひとつの細胞では、ミトコンドリアという器官が細胞内エネルギーを産生し、細胞の機能に対し重大な役割を果たしています。このミトコンドリアが活性酸素による酸化ストレスにさらされると、卵子や精子の劣化や質の低下がおこります。老化のスピードを少しでも遅ら   せるためには、毎日の食生活や運動、ストレス軽減などの生活習慣の改善が大切です。そのうえで、葉酸、マルチビタミン・ミネラルに加え、酸化ストレスを抑える抗酸化作用が期待できるL ー カルニチンやレスベラトロール、コエンザイムQ などのサプリメントの摂取を、またサプリメント以外に、鍼灸やレーザー治療など、血流の改善や細胞の活性化をうながす治療をおすすめしています。当院では「酸化ストレス度と抗酸化力テスト」を行っていますので、治療前後の効果の指標として参考にされるとわかりやすいかもしれませんね。

自分の体を知り、整え将来の不妊症を予

不妊治療が求められる背景には、女性の社会進出が進み、晩婚により出産を希望される方の年齢が高くなっていることにあります。高年齢女性の妊娠は合併症のリスクが高くなるため、妊娠適齢期での妊娠・出産が望ましいとされています。ただ女性が仕事や勉強と子育ての両立できる社会にするには、10 代の頃から妊娠適齢期を意識した教育、保育園や学童施設の充実など、さらにきめ細かな環境づくりが必要だと思います。

また、若いうちから自分の体のことを知るためにも、検診をかねて婦人科の受診をぜひおすすめします。婦人科の診察に抵抗がある方に問診や血液検査を代用することもありますよ。たとえば生理不順のある若い女性なら排卵に影響のあるホルモンや卵巣機能に異常を認めたり、また生理痛で受診される方の中に不妊症の原因になる子宮内膜症の予備軍であることも。AMH(抗ミュラー管ホルモン、保険適用外)という血液検査では、卵巣の予備能もチェックできます。これらの検査結果により、必要な薬や治療などにつなげることができます。

まずは自分の状態を知り、将来にむけた心と体の準備をすることはとても大切です。どんなお悩みでも気軽にお話しに来てくださいね。早いうちにケアできれば、将来の不妊症を予防することにもつながります。

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