Q 市販検査薬はあくまで目安に、 病院での検査・指示を信じて
佐藤 雄一 先生 医学博士・産婦人科専門医・日本生殖医学会生殖医療専門医・日本産 科婦人科内視鏡学会技術認定医。2018年、体づくりができるフィーカレ ディースクリニック(東京日本橋)を開院。佐藤病院グループ代表。佐藤 病院院長・高崎ARTクリニック・Fika Ladies’ Clinic理事長を務める。
ドクターアドバイス
●排卵日予測検査薬は100%正確ではないので、あくまでも目安に。
●検査薬の結果など、疑問があれば医師にたずねて不安を解消して!
えみさん(35歳)からの相談 Q.不妊治療を始めて1年半。タイミング法では授からず、 人工授精に切り替えて次回で5回目になります。今回は D5(※月経がはじまってから5日目)から5日間クロ ミッド Ⓡを1日1錠服用。排卵検査薬ではD12で強陽性 の反応が出ましたが、翌日D13の夜には反応が薄くなっ ていました。D13に病院で診てもらうと卵胞が21mmで、 D15にオビドレルⓇの自己注射をし、D16に人工授精を することとなりました。そこで質問ですが、クロミッド Ⓡを 服用していると排卵がずれるのでしょうか? 検査薬が正し かったら、排卵後にオビドレルⓇを注射してから人工授精を することに意味があるのか疑問です。
人工授精の前にクロミッドⓇを処方さ れました
が、D 12 で排卵検査薬を使用し たところ、強陽性の反応があったとのこ と。クロミッドⓇを服用することで、排 卵がずれることはありますか。
佐藤先生 まず、投薬のせいで「排卵がずれる」ということはないと思います。クロミッドⓇを服用すると、逆に LH サージが起こりにくくなるので、D 12 、D 13 で排卵するとは考えにくい。相談者のえみさんご本人も、「排卵検査薬が正しかったとしたら」と書かれていますが、結論から申し上げると、正しい検査結果ではなかったのではないかと思われます。
排卵検査薬(排卵日予測検査薬)にはいくつかの種類がありますが、一般的に多く市販されているのは、採尿で調べるタイプのものです。尿に含まれるLHホルモン(黄体化ホルモン)の濃度から排卵日を予測するのですが、LH ホルモンは排卵日だけに分泌されるわけではなく、排卵日の前後にもまたがって分泌されるため、どうしても多少の誤差があるのは否めません。だからといって排卵検査薬を否定するものではなく、あくまでも目安とし、正しい排卵日はやはり病院で検査されることをおすすめします。
D 13 で卵胞が 21 mm、前日にオビドレルⓇ を自己注射
して、D 16 で人工授精という スケジュールです。
佐藤先生 排卵を正確に予測するには、超音波、血液や尿からのホルモン数値などの検査が有効です。えみさんは D 13 に病院で診てもらい、卵胞の大きさも測っているので、その際にこれらの検査も受けているのではないでしょうか。 D 13 で卵胞 21 mmというのも、 おおむね順調です。子宮内膜の様子を考慮しながらということもありますが、この場合でしたら D 15 、D 16 あたりで人工授精するのも妥当な判断でしょう。市販の検査薬の結果よりも、ぜひ医師の診断を信用していただければと思います。
また、このように「排卵検査薬で陽性反応 が出たが」といった疑問があれば、診療の際に遠慮なく担当医に相談しましょう。患者さんの疑問や不安を払拭するのも、医師の役目ですから。