PCOSで着床にも問題が。 子宮内膜も厚くなりません
ドクターアドバイス
なかなか妊娠まで至らないのは、PC OS(多囊胞性卵巣症候群)の影響が大きいのでしょうか。
りません。また、卵子の数はたくさん採れ ていますが、卵としては未熟なものが多く、1個1個のクオリティはあまりよくないことが考えられます。まず、PCOSの状態を改善し、それから体外受精に臨んだほうがいいのではないでしょうか。
どのような改善法がありますか。
ちび太さんはAMH値が 10ng/ml以下な ので、PCOSのなかでもそれほど重症なケースではないと思います。手軽にできる治療としては飲み薬を試してみてもいいでしょう。インスリン抵抗性が高い方はメト ホルミン(グリコランⓇ等)というお薬が有効です。また、正常な排卵をうながす作用 があるということで、ミオイノシトールというお薬もおすすめします。海外においては以前からPCOSの方によく使われてきたお薬ですが、最近、日本人のPCOS患者にも有効性が認められたという論文が報告されました。
これらのお薬を1~2カ月間服用してから体外受精を実施すると、卵子がしっかり成熟し、受精卵の発育や質もよくなるようです。
子宮内膜はどのようにすれば厚くなる のでしょうか。
吉田先生 おそらく、エストロゲンのテープなどを貼ってホルモンを補充し、子宮内膜に厚みを出すようにしていると思いますが、それだけでは足らないのでは。プレマリンⓇやプラギノーバⓇ(国内未承認)など経口の卵胞ホルモン剤や注射を併用していったほうがいいと思いますね。
移植するのに望ましい子宮内膜の厚みは、当院の基準では8mm以上。ホルモン剤を併用していけば 10 mm以上の厚みに なっていくと思いますよ。
PCOS以外で着床を妨げている原因も考 えられますか。
吉田先生 チラーヂンSⓇを飲まれているということは甲状腺のホルモンがあまり出ていない状態なのでは。甲状腺機能の異常は着床障害と関連するといわれているので、このまま服用を続け、3カ月に1回程度、機能が保たれているかどうか甲状腺検査で確認する必要があるでしょう。
もし着床に問題があるようでしたら、ほかに着床の窓が合っているかどうかを 調べるERAⓇ検査や、子宮内の炎症や乳 酸菌環境を調べる検査もありますので、心配でしたら主治医の先生にご相談し、受診されてはどうでしょうか。