顕微授精で 移植4回目も失敗。 どうしたらいい?

ウェブジネコに投稿されているユーザーさんの悩み のなかに「医師とのコミュニケーションがうまくい かない」と困っているケースをよく見受けます。

質 問するためには、どんなことを知るべきか、また、 どんな質問を投げかけるとよいか、臼井医院不妊治 療センターの臼井彰先生にお聞きしました。

臼井 彰 先生 東邦大学医学部卒業。東邦大学大森病院で久 保春海教授の体外受精グループにて研究・診察 に従事。医局長を経て、1995年より現在の東京・ 亀有にて産婦人科医院を開業
相談者:もも。。。さん(29歳)Q. 昨年から顕微授精を始めて、①1周期目は低刺激 で5個採卵。2個初期胚で新鮮胚移植陰性、凍結 初期胚移植陰性でした。2周期目はロング法で9 個採卵して2個受精。胚盤胞が2個できて、その うちグレードAAは陽性が出ましたが化学流産、 BAは陰性という結果に。凍結胚がなくなったの で先生に次の周期の相談をしたら、「②どうしたら いいのか、何か名案出してくださいよ」といわれ ました。③子宮内膜がホルモン補充期で移植前9 mm、移植後4~5日目で7.8から8.0mmと厚くなり ません。「次は低刺激で新鮮胚移植でもいいんじゃ ないか」「高刺激で新鮮胚」「まあ、とりあえずピ ル始めて次回どうしたいか考えてきてください」 と。④ホルモン補充はジュリナⓇ、プレマリンⓇ、エ ストラーナⓇとフルフルでやり、さらにウトロゲ スタンⓇもしていました。それでも厚くならない 内膜。先生からももはや提案はほとんどされず、 考えてこいと。数をこなすしかないんですかね。

①誘発法を選択する幅は広いはず。 2回とも正解だったと思います

 採卵に向けて卵胞を発育させるために行う排卵誘発 法は低刺激法やアゴニストというお薬を使うショート 法・ロング法、アンタゴニスト法などいくつかあります。
これらのなかから患者さんの年齢やホルモン値、可能 な来院回数などを参考にして、現状最も適切だと思わ れる方法を選択していくのです。
 もも。。。さんはまだ年齢的にはお若く、ホルモン値 などに問題がなければ、選択の幅は広いはず。担当の 先生は、1回目はまずマイルドな方法で試して反応を 見て、2回目は高刺激のロング法で卵子の数を採りに いこうと考えたのではないでしょうか。いずれも結果 は良好で、よい胚盤胞もできているので、選択として は正解だったと思います。

②誘発法や胚の戻し方を変えるなど、 まだ試せることはあるのでは

何か名案を出してください」と本当に先生がおっ しゃったかどうかわかりませんが、もし僕だったら「ま だ打つ手はあります。次は作戦を変えてやっていきま しょう」とお伝えしますね。実際、まだ試せることは あるのでは。前回結果はよかったけれど、排卵誘発法 をまだやったことのないアンタゴニスト法に変えてみ る。ホルモン補充周期で胚を戻して結果が出ていない ようなら、次は自然周期で戻してみる……など。
 また子宮側に着目し、子宮環境を調べて、悪かった ら改善する検査や治療もあります。原因不明の場合、 やり方やお薬の種類、量をちょっと変えるだけで妊娠 する方もいるので、ここで匙を投げてしまうのは早い と思いますね。

③子宮内の環境も 着床に影響

子宮内膜の厚さは着床時に 10mm 以上 あれば理想的、8 mm 以下だと薄いとい われているようですが、それほど数字 にとらわれることはなく、最低7 mm 程 度あれば問題はないと考えています。 もも。。。さんはその点はクリアされて いますから、神経質になることはない と思いますね。
  また、厚みがあっても、子宮環境が 悪いと着床が阻害されることがありま す。たとえば、細菌感染により子宮内 で炎症が起こっていると、受精卵が着 床しにくくなるという報告も。
  感染しているかどうかは外来の検査 で簡単に調べることができます。カ テーテルを挿入して子宮内の月経血を 採取し、着床の妨げになるエンドトキ シンという物質の存在を調べます。子 宮内に細菌が侵入しているとこの物質 が検出されるので、陽性だった場合は 抗生物質を内服してもらい、次の周期 以降に再度検査を行って、陰性化して いるかどうかを確認。子宮環境を整え てから移植に臨みます。
  当院でも実施していますが、良好な 胚盤胞を何度か戻してもうまくいかな い方は、このような検査を受けてみて もいいと思いますね。

④足りないホルモンを 補充し、血流改善を

子宮内膜はよく「受精卵のベッド」 といわれています。普段は薄い状態 ですが、排卵が近づくにつれて厚さ を増し、受精卵が居心地よく着いて くれるように準備を始めるのですね。 この肥厚にかかわっているのが女性 ホルモンの「エストロゲン」や「プロゲステロン」。内膜が厚くならない 人はこれらのホルモン分泌機能が正 常に働いていないと考えられ、改善 するためにホルモン補充などを行い ます。もも。。。さんもいろいろなお 薬でされていますね。

ホルモン補充のほかに運動や冷え 解消も実施しているとのこと。劇的 な変化はないかもしれませんが、血 流をよくすることは内膜に何かしら いい影響を与えるはずです。内膜の 血流量が増えれば栄養やホルモンが 隅々まで行き渡り、受精卵も着床し やすい状態になるのでは。

現在、ホルモン剤を使われていま すが、それと併行して、血流をうな がすためにビタミンE製剤などを服 用するのもおすすめです。

残念ながら現状では内膜を厚くす る絶対的な方法はありませんが、後 悔しないために今できることはチャ レンジしていただきたいと思います。

モチベーションを 維持させるのも大事

年齢がまだ若く、卵子の数がしっかり採れていて、良好な胚盤胞にもなっているのにうまくいかないーー。

このような原因不明の反復不成功は、不妊治療のなかでも最もつらいケースかもしれません。医師にとってもこのような症例を治療するのは大変なことで、その反応に患者さんは一喜一憂しているようです。

「確かに大変ですが、まだ希望がある場合は、手を変え品を変え、できるだけいろいろな方法でチャレンジしていきます。原因不明による不妊の場合、とにかくやってみないとわからないというところがあります。ちょっと方法を変えただけで妊娠するケースも多々ありますから」(臼井先生)

前向きな提案で萎えかけた患者さんの気持ちを立て直し、モチベーションをキープしていくのも医師の役目とも。

「先生の対応が投げやりで信頼できないと感じたら、思い切って転院を考えてもいいのでは。気持ちも影響するのか、何年も妊娠できなかった人が転院して、1回目の治療で結果を出せたという例も多く聞きます」(臼井先生)

ドクターにはこう聞いてみよう!

患者側からも意見は 出していったほうがいいでしょう
「何か名案を出して」といういい方は問題です が、意見があればどんどん出していただきたい ですね。それで、なるべくご希望に沿う方法を 提示して治療方針を決め、要所要所で相談しな がら進めていくのがベストだと思います。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。